迷走ソネット

(A5!パロ)

「え、編成?」
突如相席したホストからゲームの指摘を受けるとは、彼女も思わなかっただろう。咄嗟にオフモードの本心が反応してしまったが、正直失敗した気がする。何事も無かったように営業スマイルで誤魔化そう、それが良い。
「あ、それで全然クリア出来ないんだ…、何を編成したらいいの?」
そう思った矢先、当たり前のように返されたソシャゲの話題に逆に面食らう。そこ、普通に返す?若干の疑問を抱きながらスマホから視線を上げ、捉えた彼女の瞳はキラキラと輝いていた。その表情に、思わず心臓が跳ねる。期待の眼差しを宿した瞳が、何よりも反応が可愛い。こんな感情を覚えるのは初めてだ。抱いてしまった感情に戸惑いながらも、質問に答えを返していく。初対面の、名前も知らない彼女と自然と続いていくソシャゲ話に心が躍る。もっと話したい、知りたい。
「此処で話すのもアレだし、アフター行かない?」
驚きの表情を浮かべた彼女に、誤解がないよう早々に説明を付け加える。大丈夫、何もしない。お金も俺が持つ。ルール違反な事ばかり推し進めるのだ。
何を必死に、なっているんだろう。
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