果たしてネイビー

事前登録していた新しいアプリをインストールする。最近のゲームは主人公のキャラメイクを出来る機能があるが、これが割と好きである。今回のアプリも確かキャラメイクが出来た筈だ、そう思いアプリを進めていく。
「たるち、と…」
名前入力を済ませ、お待ちかねのアバター作成だ。タップを終え、次に表示される画面。初期アバターの雰囲気が、何処と無く鈴音に似ている。これには思わず二度見をしてしまう。髪型こそ違うとはいえ、寧ろ髪型を弄ればまさに鈴音ではないか?と正直思ってしまう。そう思うと勝ってしまうのは好奇心、一覧を開き、近いものを探し始める。
完成したアバターの再現度に我ながら自己満足。達成感からこのままゲームを開始し、チュートリアルをこなしていた束の間、扉をノックする音と共に、開けるよと鈴音の声。
「ねぇ、至。この前事前登録したアプリなんだけど」
なんてタイムリーな話題なんだ、確かにアプリを教えたのは俺自身ではある。しかし、このアバターの現状を鈴音本人に知られる事はこの上なく恥ずかしいものではないのか、と思考を巡らせている内にソファーまでやって来た鈴音が隣に座り込む。
「アバターどんな感じにしたのかなって……」
そしてアプリを落とす前に覗き込まれる画面。堂々と表示される鈴音似のアバターの戦闘シーン。声を閉ざした鈴音。終わった…。
「…割といい再現度じゃない?」
誤魔化そうにも誤魔化せないので、開き直って言葉を押し進める。間違いなく怒られる、と思った筈が何故かそこには頬を真っ赤に染めた鈴音がいた。
ALICE+