今日もありふれた平和でした

(第二公演パロ)

「やぁ、三月うさぎ」
ティーポットを筆頭に机の上に乱立するお菓子やカップの山々。声を掛けた張本人は、優雅に椅子に腰掛け、ティータイムを満喫している真っ最中。まぁ、こう毎日も飽きもせずにお茶会を開くこと、と頭では思いながらも気が付けばこの場に足を運んでいる自分も自分である。これは、彼が帽子屋で、私が三月うさぎだから仕方がない事なのかも知れないが。
彼の呼び掛けに生返事をし、当たり前のように用意されている席に着く。そのままクッキーに手を伸ばし、口に含む。果たしてこのお茶といいお菓子といい、何処から調達されているものだろうか。美味しい事に変わりはないので、つい伸びる手が止まらないのはいつものこと。

食べる手を進めながら、机を挟んだ向こうの席でお茶を堪能する帽子屋をまじまじと見つめる。整った顔立ちが仕草と相まって非常に絵になる。目が合うと当たり前のように、にこりと柔らかな笑みを浮かべてくるのだ。
「そのクッキー、気に入ってくれた?」
「まぁ、美味しいけど…」
「君が余りにも美味しそうに食べていたから、僕も気になってね」
ひょいと手に取ったクッキーを口元へ運ぶ。だから、どうして食べる姿も様になるのかと問いたい。
「うん、いいね。明日もこれにしよう」
「もう明日の事考えてるの?」
「勿論、明日も明々後日も、終わらないお茶会は続くよ」
どこから出てくるんだろう、その根拠のない自信は。それでも、きっと彼がお茶会を開き続ける限り、この席が埋まらない限り、此処に足を運ぶんだろうと、不確かな自信を持っている自分がいるので、彼の事をどうこう言えるものじゃない。このクッキー紅茶が美味しいから、という事にしておきましょう。
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