スロー・スライ

「鈴音、鈴音」
肩に手を添え、体を揺する。ソファーで睡眠を取っていた鈴音は、まだ眠気に勝てないのか体を身動ぎ、そのまますっぽりとタオルケットを頭まで覆い被さる。余程起きたくない模様。
「残念ながら日曜日は終了のお知らせ」
「そんな現実聞きたくない」
きちんと返答が返ってくる辺り、起きてはいることは筒抜けである。お定規の悪さまで俺に似てきたんじゃないか、と最近思う。まぁ、日によって鈴音に起こされても起床拒否する時があるのでお互い様ではあるが。
さて、どうしたものか。寝巻きを脱ぎつつ、鈴音の様子を伺うがソファーが空く気配はまだ見られない。ギリギリまでこのままでもいいが、朝食に遅れるのは困る。脱ぎ捨てたスカジャンをソファーの背もたれに掛けると、もぞもぞとタオルケットが動く。ワイシャツに袖を通した所で、そのタオルケットに手を掛ける。軽く引き下ろすと、思ったよりパチリと目を開いている鈴音の顔。
「目開いてるけど」
「い、至!シャツ!!前しめて!!」
ちょうど視界に入ったのか、あっという間にその頬は真っ赤に染まり上がったと思うと、咄嗟に体を弾けるように起こした鈴音は背を向ける。そんなに刺激的だったろうか、この格好。思わずくつくつと笑いがこみ上げるのを抑えられずにいると、恥ずかしかったのか彼女の枕であるウサギの抱き枕が顔面に飛んできた。
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