シンパシー・シンドローム

ソシャゲのAP回復待ちの間にネットサーフィン。特に調べる事はないので、適当にページを飛んでいた先に行き当たるジューンブライド特集。そう言えば、去年至がその手のお仕事をしていた事を鈴音は思い出す。あの時現地にはいなかったので、写真のみ後々見せてもらった記憶があるけど、それはもう絵になる。と率直な感想しか浮かばなかった思い出。あわよくば写真も頂きたかったけど、流石に至自身にそれをお願いする程度の度胸は持ち合わせていない。直に拝めたら素敵だろうなぁ、と口に出さない素直な感想は浮かべられるというのに。
「何々、ジューンブライド?」
隣に座る至が鈴音のスマホを覗き込む。液晶にはリザルト画面が表示されているので、マッチングは終えたようだ。
「鈴音も興味ある?」
「別にそんなのじゃないし…」
これ以上変に勘付かれる前に慌ただしくブクマに飛び、ページを攻略wikiに変える。その行為が逆に至すれば面白かったようで、自分のスマホを弄り出した。
「こういうの、鈴音なら似合うんじゃない?」
至の手に掲げられたスマホに表示されているのは、先程まで見ていたようなジューンブライド特集。中でも淡いピンクを基調とし、ガーベラ等をふんだんに盛り込まれた可愛らしいウェディングドレスだった。
「可愛い…」
思わず一目見て思った素直な感想が口から零れ落ちる。
「見立て通り。これは将来的に、かな?」
はっ、と我に返った後には時すでに遅し。意地悪さも含みながらも笑みを浮かべる至の言葉の意味を漸く理解し、上手く返す言葉すら見つからなかった。
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