初恋カプチーノ
彼女が動く度、黒いリボンが兎の様にひょこひょこと揺れる後ろ姿が視界に入る。「めーちゃん♪」
それはそれは上機嫌な声色で名前を呼ばれた彼女はゆっくりと此方を振り返る。
「なんだ、けーくん先輩ですか。どうも」
礼儀正しくぺこり、とメアリは頭を下げる。いつもと変わらない表情と淡々とした反応。出会った時から何一つとして変化の無いこの距離間。どういった訳か、これが案外心地良かったりもする。隠し事が苦手な、嘘偽りのない真っ直ぐとした瞳は正直だ。
「めーちゃん放課後時間ある?お茶しない?」
「…甘い物食べたいんですけど」
「いいよいいよ!オレのオススメの店教えちゃう〜」
「はぁ」
理解に及ばない、そう言いたげな眼差しの意味は言わずとも伝わる。それを承知の上で誘い掛けたいと思えるぐらいに。