恋によく似た病

「おぉ!凄いぞ凛!ぶかぶかだ!」
目の前には俺の制服に腕を通し嬉々とした笑みを浮かべている幼馴染と上着を剥ぎ取られた俺の二人。きっかけは数分前に遡る、突然俺の制服を着たいと言い出した澪により行われた制服交換だが流石に俺が澪の制服を着るのはサイズ的にもまず不可能。そもそも交換なんてしてみろ、俺がスカート履く羽目になるとか考えるだけで恐ろしい。…文化祭でメイド服を着た事があるような記憶は頭の何処かへ閉まった、あんな事はなかったんだ。結局澪が俺の上着を強制的に羽織る事になり冒頭に戻る。俗に言う彼シャツというやつなんだろう、これは。上着のサイズがデカいせいかスカートが隠れ切っていて際どく見えてしまう、等の本人はそれどころではない様子だが良い意味で目に毒にしかならないので視線を泳がせるが俺も男だ。
「どうだ、似合うか!」
「いや似合うも何もまず制服だしサイズもおかしいだろ」
「そうか?私はこれで楽しいぞ!」
澪からすればただの思い付きか気紛れからのこの状況なんだろうが、深い意味なんてきっとない。まぁ、澪が楽しければそれはそれで結果としていい。
一通り堪能し満足したのか格好は変わらずの澪が隣に座る。
「満足したか?」
「満足だ!」
「そうか」
「凛の匂いがするな」
軽く頭でも撫でてやろうかと思い手を伸ばした突如に澪の言葉に手が止まる。…俺の匂い?
「洗濯もクリーニングもしてんぞ!?」
「それはわかっている!そうではなくてだな、凛の匂いは落ち着くんだ」
そう言うとぶかぶかの袖を捲り腰に両手を当ててふんぞりかえる。無意識な言動だ、そうに違いない筈なのに彼シャツ仕様といい俺の匂いが落ち着くだどうだなんて澪の癖に妙にポイントをついた事をしやがるからついクラクラと思考がもっていかれそうになる。
夏の暑さにやられるのはまだ早い。

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