しとしとと降りしきる雨を部屋から眺める。大降りでもない雨音がどこか心地良さを感じさせる。ごろり、と畳の上に寝っ転がった澪は、台所に向かった凛の姿を確認しようと頭を動かし視線を向けたが、足元しか見えず。何を取りに行ったのかは特に述べてはいなかったが、今更冷蔵庫の中身を見られようが気にする仲では無い。休日、という事もあり帰省した凛が実家に顔を出すついで、隣の家に立ち寄るのも良くある事だ。それだけ実家に凛がいる環境に慣れきってしまっているのだが。
もう一度寝返りを打つと視界に入る低い天井。そのまま瞼を閉じると雨音はより一層耳に響き、頭に届く。
「おい澪、寝てんのか?」
掛けられた声に瞳を開けると、両手に麦茶が入ったコップを持った凛の姿。
「別に寝てはいないぞ」
むくりと体を起こすと目の前に差し出されたコップ。カラン、と氷が音を立てる。冷え切った麦茶はコップ越しに手をひんやりと冷まさせる。
「梅雨入りらしいな」
「ふむ、6月だものな」
何気無い会話を交わしながら再び視線は窓の外へ。天気予報は丸一日雨と告げていた。
「早く晴れないものか…」
「鮫柄は屋内プールだけどそっちは外だもんな」
「こう雨が続くと練習も儘ならん」
部活の事は勿論、だが。雨の日に凛と家で二人、どうしても脳裏を過るものがある。海も、台風も、未だに得意では無い。曇天の雲を吹き飛ばすような、晴れ渡る快晴が続く空を早く拝みたい。冷え切った麦茶を口に含みながら、澪は再び目を閉じた。