つま先の青

「まぁ、私もオーストラリアに進路を決めたんだが」
開いた口が塞がらないとはこの事を言う。
幼馴染からの突然の告白を受けたのは数日前。確かに、進路については此方からも詳しくは聞き出してもいなかったし、澪自身も凛の進路がオーストラリアと決まっている事もありその手の話題にはならなかった、ならなかったが、まさかあの澪が、オーストラリアを目指しているとは想定外だった。そもそも勉強もそこまで得意ではなかった筈なのだが、試験勉強とやらで教えを懇願していたのがこの為だったとは。
「ふふん、私も頑張ったんだぞ?」
さも自信気な表情を浮かべて澪は笑う。その言葉の通りなんだろう、素直に感心するしか出来なかった。
その流れから買い出しに行く澪の手伝いをする。荷造りは大体済んでいるものの、拠点を移す事が初めてな澪にとっては、私生活を整える事は第一だ。必要そうな物をピックアップしながら、澪と吟味を重ねる。
「住む所とかはどうすんだよ」
「それはだな、…まぁ向こうに行ってから決めようかと」
「……決まってねぇのか?」
「そう言う事だな!」
そこは自信気に言うところではないと心底思うのと同時に思わず溜息が出る、聞いていて良かった。澪ならどうにかなるとは思うが、行き先は日本内ではない全くの新天地。いくら澪とはいえ、凛にも心配をせざるを得ない気持ちがある。それは、幼馴染としてでもあり、一人の男としてもだ。
「…部屋、来るか?」
此れが一番良い英断だと思う、幸いにももう一台ベッドを置くスペースはある。それ以上に、何より目の届くところにいて欲しいと、願う自分がいた。
「いいのか?!」
「向こう行ってからってのも大変だろ、それに何より台所事情が心配なんだよ、ったく…」
その点は本当に心配である。まるで同棲生活にアプローチを掛ける様な誘い方、空気も雰囲気もあったもんじゃない。嬉しそうな笑みを浮かべ、こちらの手を取りブンブンと振るその行為から伝わる喜びは、悪いものではなかった。

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