夢で見た君は、



目が覚めたらこれはまぁ素晴らしい青空の下で砂浜に寝っ転がり寝ている四人の部員の姿が真っ先に目に入った、何をやってるんだこの人達は、凄く熟睡しきっているようだがテントはどうしたテントは。
よくわからないこの状況に首を傾げるが結局昨晩何があったのかはわかることはなかったと同時にこの合宿も終わろうとしていた、そして二度目の船旅の恐怖が近づいていた。





「大会まであと数日…か」

江によって綺麗な筆字で書かれたカウントダウンの半紙をペラペラと捲る。合宿後から一度も凛に会ってはいない、会おうと思えば連絡一つでもすれば会ってくれると思うのだが何分気まずいのだ、珍しくどう接していいのか迷いに迷ったままである。大会で出会う事にはなると思うがそれまでに一度話しておきたい気持ちはある。

「…どうしたものか」

家に来い、一言だけ書かれた関節なメールを消してはまた打ってを繰り返し押せない送信ボタンに溜息一つ、何を女々しく迷っているというのだ。

「ええい!送ってしまえ!」

こうなったらどうにでもなってしまえ!送信しましたの文字を見送りなるようにきっとなる、そう考える事にした。







ハルと勝負をするはずが目の前のハルの姿は忽然と消え、幼き日の親父がいた。声を掛けるにも親父は振り返る事もなく俺の前から走り去って行った。必死に後ろ姿を追い掛けるが追いつくことが出来ない。トンネルを抜けた先には白装束の集団の中にいた。思い出したくもない、あの日の出来事。不気味だ、見たくないと振り返った先にいたのは小柄な赤髪の女の子。

「澪…!」

白い服装を纏った俺が知っている小さい頃のそのままの姿の澪がいた。俺の言葉に返答はなく、伏せられていた赤い瞳と視線が交わる。


「 」





定まらない呼吸を落ち着かせようと肩で何度も息を繰り返す。夢、だった。今見てた事は全部、夢と思えない鮮明さが怖い。

「……澪、は」

嘘つき、そう俺に向けて言った。例えただの夢であろうともその言葉が俺には重くのしかかる。携帯を見ると見透かしたようなタイミングで澪からのメールが届いていた。家に来い、そう一言だけ書かれた文章に素直に答えることは出来ず、悪いと返信を送る。今は合わせる顔がない。


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