遡りて、数年前。
おかしい。いくら待っても待ち合わせの場所に凛が来ない。毎日一緒に登園している身としてはこれはある意味一大事だ。と言っても凛が寝坊したか用事があるから先に行ったの二択しか私の頭に浮かぶものはなく、わざわざ家にまで迎えに行かなくとも学校に行けば会えるだろうと単純な結論に至った。
通学路途中、視界前方に見覚えのある黒髪の背の高いひょろっとした身体つきが目に入る、駆け足で寄ると私に気がついたのか視線が此方を捉えた。
「おはよう、澪」
「宗介おはよう!」
宗介が此処で待っていたと言うことは凛はまだ来ていない可能性が高い、やはり寝坊か?今となって迎えに行けばよかったのではないかと思ってしまう。
「宗介、凛はまだか?寝坊か?」
私の一言に宗介は眉をしかめた。
「…澪、お前聞いてないのか?」
「何がだ?凛が寝坊でもしたことか?」
「違うそんな事じゃない、…凛のやつ澪に黙ってたのかよ」
宗介は何かを知っている、わからなくて隠されてる気がして感情任せに宗介の腕を掴んだ。
「宗介、どう言うことだ!」
「…凛の奴、転校したんだよ」
…転校?
今がいつだと思っている、冬だぞ。小六の冬、もう卒業間近なんだぞ。
そうじゃない、それよりも私の心に響いたのは幼馴染が、私に隠し事なんて一つもしていないと思っていた凛が、私に何も言わずに転校した。宗介は知っていたのに、私には知らされなかった。その事実が私の思考を止まらせた。
私はそこまで凛に信頼されてなかったのだろうか。
今となっては笑い話かも知れないがあの当時の出来事は私に大きな衝撃を与えたのは事実だ。
気まずそうな顔をした宗介が何か話しかけようと口を開いたのを視界の端に捉えた。
ALICE+