その笑顔の向ける先
真夏に鍋を食う奴がいるか、と心から問いたい。暑い、とにかく暑いのだ。真ん中で煮え立つ鍋を囲みながら私以外の者も同意見だと思いたい。此処に炬燵があれば冬ならば素晴らしいと言うのに現状それどころではなかったのが数十分前の出来事。
暑さに勝るものはなかったが皆で突ついた鍋はとても美味しかった、というのが今の感想だ、美味しくてもやはり時期がおかしいというのは強く念を押しておくが。縁側に足を放り出し口に含むスイカにより鍋で得られた暑さは殆ど緩和されていた。
江が見つけ出した岩鳶SCのアルバムを覗くことになった。もちろん私は写っているワケはないのだが、そこにいる凛の姿は私の知らないものばかりだった。
「この時の凛ちゃんって」
「そういえばそんな事も」
ぼんやりと渚達の会話が頭の中を通過していく。アルバムの中で笑う凛は私が一番間近でみてきた筈なのに、遠くに感じた。当時は其処まで深刻に思っていなかったが今となってはわかる気がする。私と同じように口を閉ざしてアルバムを見つめる怜にも似たような思うところがあるのだろうか、と怜に視線を向けると取り急ぎの作り笑顔を向けてきた。やはり怜も寂しいのであろう、私には直接関与出来ない問題だが。いい方向に解決してくれれば、と願うことしか出来なかった。
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