おかえり。
波風に当たり帰ろうか帰らないか物思いにふけっていた所、澪が予想よりも早く目覚めてしまった結果、出会い頭に開幕右ストレート。躊躇無く殴り飛ばされた痛む右頬に手を添え正座で幼馴染と対面をする。顔を見合わせた初っ端から殴られるとは、確かに勝手に入って出て行ったのは俺だけどこの展開は流石に予想外すぎて格好がつかない。ずるずると冷泉家へと引き返すことになった。
「それでだ?詳しく話を聞かせて貰おうか。四年間何一つ連絡をくれなかった幼馴染さん?」
目の前にはふんぞりかえる幼馴染。スカートで胡座をかくな、危うくて視線が行くだろ!四年間ぶりの澪は外見こそは変わりないと思っていたが中身もこれっぽっち変わってなかった。今は安心感よりもこの状況をどう打破するかが先決。
「オーストラリアだったな、留学していたのは。帰って来たのはいつだ」
「暫く前、今は編入して寮にいる」
「寮…?岩鳶ではないのか」
「あぁ、鮫柄だ」
「鮫柄…、そうか。まぁ詳しい事は聞かん。訳ありの様だしな」
ちくちくと突き刺さる視線が痛いが根掘り葉掘り吐かされるんじゃないかと思ってた以上に澪の答えはあっさりとしていた。多分俺に気を遣ったのか、本当は四年間の事や連絡取らなかった事、聞きたい事はもっとあるはずだ、どこと無く納得いかない表情がそれを物語っている。だけど澪は口にしない、隠し事に付き合う気だ。
「…悪かった」
「別に気にしてなくは…といったら嘘になるが」
あぁ、それと。続くて澪が口を開く。
「部屋に入ったの凛だろう?」
こちらも見事にお見通しだ、タオルケットを掛けて行ったのだから訪問者が来てた事に気付いてくださいと言ってるようなモンだ、そのまま出て行けば良かったものの気が付けば押入れにあったタオルケットを澪に掛けていた。心の底で気付いて欲しかったのかもしれない、俺が帰ってきたということを。巡りに巡ってこうなっている訳だが。
「…俺です」
「勝手に行こうとしていたのか、全く堂々と挨拶ぐらいしていけ」
それより先に言う事があるだろう?腕を組んだ澪と視線が合う。
「ただいま」
「おかえり」
交わす言葉にどこか懐かしさを覚えた。
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