一歩、また一歩
あの日、海での約束は私と凛の四年間の出来事を白紙に戻す事が出来た、今まで通り変わらない幼馴染に戻ったというわけだ。
心なしか気持ちが軽い。私も向き合わなければいけない、自分自身の過去とトラウマ。その為にはまず身近にできる事からだ、真琴から手渡されたポスターに目を向けた。結局捨てられなかったのだ、未練しか残っていない事に思わず苦笑いが溢れる。
少し離れた1組の教室を覗くと探していたアッシュグリーン髪色を見つける事が出来た。一人でいるところを見るとどうやら遙はいないようだ、セットでいるイメージがあるせいか珍しい。
「真琴」
「澪ちゃん!どうかしたの?」
呼び掛けに片手を上げて返した真琴から人の良さそうな笑顔がかえってくる。右手に丸めて持って来ていたポスターを真琴の眼前に突き出す。
すぅ、と一息。
「手伝い、させてくれないか」
「えっ!?それって、澪ちゃん…!」
「水泳部に入れてくれ」
泳ぐ事はまだ出来ないが今やれるべき事はこれしか浮かばなかった。ここで動かなくては凛に置いていかれるばかり、それだけはごめんだ。
私なりに一歩前進、出来ているだろうか。
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