愛しいと、愛しいと

「膝枕ってされると嬉しい?」
雑誌を読む宗介の傍で女性向け雑誌を読んでいた恵が顔を上げる。目が輝いている、読んでいた雑誌の中身に影響された事がよく分かる質問。付き合う前から薄々思っていたが恵はこういう面で割と影響されやすい。
「膝枕か…、そりゃされて嫌な方が珍しいんじゃないか?」
わざと素っ気ないような反応を返す。話題振りからして宗介自身が膝枕をさせられる流れにしたいのは目に浮かんでいるが。若干の意地悪心、恵の反応が可愛いからに決まっている。次に恵がする行動は膝を叩いてどうぞ!と言うだろう。
「えいっ」
ふんわりとした髪が揺れ、小さな頭が胡座をかいていた膝上に乗る。宗介の予想と正反対な出来事が起こる。
「うーん…、胡座で膝枕はちょっと寝にくいね。そーすけくん、正座!正座して!」
「恵」
「なぁに?」
体勢に違和感を感じ、一度身体を起こした恵が首を傾げる。無自覚なのだろう、一つ一つ些細な仕草が可愛らしく、宗介の心を乱している事はわかっているんだろうか。
「さっきのは正座以前に間違ってるだろ」
「え、そんな事ないよ。そーすけくんの膝枕絶対気持ちいいと思うよ!」
ねっ、と念を押される。どうやら宗介が膝枕をする立場である事は最初から恵の中で決められていた事のようだ。普通は逆な様な気もするがここは一つ、可愛い恋人の為要望を飲んでやろう。読んでいた雑誌を伏せ、正座に組み直す。軽く膝を叩くと嬉しそうに恵は笑顔を浮かべた、この笑顔が好きだ。
「お邪魔します」
少し遠慮がちに再び膝上に乗せられた恵の頭に手を伸ばす。触れる程度の軽い力で髪を撫でるとくすぐったいのだろうか、身を捩る。
「そーすけくんの膝枕、落ち着くね」
「…そうか?」
落ち着くなんて本当だろうか?男の膝枕なんて硬いに決まっているだろう。それでも安堵するというなら嬉しいところである、もう少しこのままでいる事にしておこう。
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