とこしえの春

うーん、と唸りながら手に取る服を見比べては戻す、を行う恵の小さな頭が揺れる。買い物に来た矢先少し服を見たい、と言う恵の願いに付き合っていた宗介は、気が付けば自分自身の服を選ばれている事に疑問を抱いていたものの、あまりに真剣な表情で選んでいる姿に何も言い出せず、流れに任せて付き合う形になっていた。
「これはどうかな?」
差し出された服は嫌いでは無かった、寧ろ好みのデザインと言える。手に取った服を嬉しそうな笑みを浮かべて、近づける。身長差がある分、体に合わせようとすると精一杯の背伸びになってしまうその姿すら、些細な事とはいえ宗介の目には愛おしく映る。何をしても一生懸命で直向きな、恵のそう言う一面を好きになったのだ、と改めて思い返される。
「そーすけくんは何着てもかっこいいねぇ」
ニコニコと浮かべられた笑顔に、返事も込めて小さな頭を撫でる。くすぐったそうにしながらも、嫌がる事なくその行為を恵は受け入れる。そのまま彼女が手に取っていた服を手にし、受け取る。
「そーすけくん?」
「折角だからな」
可愛い彼女が真剣に見比べて選んでくれたものだ、買う価値は十分ある。どうせなら、本来の目的から外れてしまった恵の服選びをお返しにしてみようか、そう思いながら空いている手で、小さな手を握った。
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