ひだまりに喝采

地元の小さな夏祭り、参加するのは久しぶりだった。昔は屋台の巡り先で何かと凛と競い合ったり、くだらない事で盛り上がっていた懐かしい記憶がよみがえる。また、その祭りに行く日が来るとは思ってもいなかった。彼女を待つ玄関先、ガラガラと音を立てて扉が開く。視線を音の方へ向けると、向日葵模様の浴衣を身に纏った恵が少し恥ずかしそうに顔を出した。
「ご、ごめんね。待たせちゃって」
まさか、浴衣姿で来るとは思っても見なかった。恵曰く、おばあちゃんがどうしても、と張り切って着付けをされたらしいが。普段拝む事のない浴衣姿、控えめに言っても可愛いと、率直な言葉しか浮かばなかった。
「…似合ってる」
「本当…!?変じゃないかな、これ」
くるりと袖を翻す。その仕草ひとつひとつすら、いつも以上に可愛く映るのは夏祭りの雰囲気に飲まれているのか。カラコロと下駄の音を鳴らし恵が隣に並ぶ。どちらとも理由も無いまま自然と差し出した手が重なり、繋がる。小さな手はすっぽりと包み込まれた。
「そーすけくん、こっちだよ」
笑顔を浮かべた恵が一歩足を進め、繋いだ手を引く。迷子防止のリードなんだろう、流石に慣れきった地元では迷うことはないと思いながらも、その行為に素直に甘える事にした。

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