ないしょの遊びかた

段々と覚醒してきた意識に思考が追いついていく。軽く揺さぶられるように撫でられている感覚が心地よく重たい瞼をゆっくりと持ち上げると優しく微笑む薫の姿を捉えた。
「おはよ、ななし」
「おは……、よ!?って待って俺寝落ちして…!」
「そりゃもう熟睡熟睡」
二人で寝るには狭いベッドの上、寝起き早々身体を起こしたななし。何も羽織っていない姿に薫は床に投げ出されたシャツを拾いななしに掛ける。近付いた距離に脳裏を過る昨夜の事が思い出される。夢ではない、と。薫の首筋に散る赤い痕が物語る。自分がつけたものに間違いはないが無性に照れ恥ずかしい気持ちがななしの視線を薫から逸らさせた。それに勘付いたのか、薫はななしの首筋を指差し触れる。
「それさ、お揃い」
ななしがつけたがるからさぁ?と、からかうような声色で薫は告げる。
「こんなお揃い聞いた事ないわぁ…」
「俺も初めてだしねぇ?」
「っていうか見えない!?これ見えない!?」
「ギリギリ見えないとこだから、俺がそんな見えるとこにするわけないでしょ?」
安堵の息を漏らすななしに少し面白くなかったのか、ななしの首筋に顔を寄せた薫は同じところにもう一度赤い痕を上書きした。
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