萩原と曖昧な関係※


薄暗い部屋に私と彼のリップ音が静かに響く。

「…んっ…んん…」

彼、萩原くんは仕事が終わって私の部屋を訪れるなり食事もとらずにひょいと私を抱えて寝室へ運ぶとベッドにおろして上に重なる。特定の彼女を作らない彼はきっと色んな女の子と遊んでる。だからそんなにがっつかなくても、と思うけど彼に見つめられた時にはもう手遅れ。あっという間に彼のペースに持っていかれてしまうのだ。きっと世の大半の女性はそうなんだと思う。彼に興味のなかった私でさえ、今となってはこの有様なのだから…

優しく微笑んで唇を重ねたかと思えばすぐに色っぽいオスの顔になる。そのギャップに私は弱い。

ちゅ…んちゅ…じゅるっ…とゆっくり味わうような彼の長いキスに、お互いの唾液が混ざり合うのをつい意識してしまう。

息苦しくて彼の胸を押すと、それが逆に彼のSっ気に火をつけてしまったようで私の後頭部に手を添えて更に深く舌を侵入させてきた。

「…んっ…んう…あ…はぁっ…」
「ん……苦しい?」

余裕な彼は意地悪な笑顔を見せてそう聞いてくる。せめてもの反抗で睨みつけて頷けば、満足そうに「かわい…」とこぼす。

「名前ちゃんのこの手は、ここじゃなくてこっちでしょ」

そう言って胸を押していた手を掴むと彼の首に回されまたキスの続きが始まる。彼のテクニックと仕事終わりとは思えないほどのいい匂いにクラクラして理性を早くも手放しそうになってしまう。

舌を絡めている間、時折薄っすら目を開けて彼の表情を覗き見ると、目を閉じながら私に口付ける色っぽい表情に心臓がまたドクンと鳴った。

長いキスが終わって解放されたかと思ったが休む暇など与えられるわけもなく、今度は首筋からツーっと唇を滑らせながら私の服を脱がし、下着だけの姿にされた。

萩原くん自身もスーツを脱ぐと慣れた手つきでネクタイを緩めて床に落とした。女子が大好きな定番のこの仕草だが、私も毎回ネクタイを緩めながら見下ろされるたびにかっこいいなと思ってしまう。

そんな彼は再び私の上に重なると、胸の谷間に顔を埋めブラの上からむにむにと揉む。

「あー…やっば…まじで癒される…仕事の疲れ飛ぶわ…」
「ん…もう…何言ってんの…」
「ほんとほんと。はやく会いたくて車飛ばしてきたんだから」
「ふふ…ばか…」

かわいい、なんて思ったのも束の間。背中に回された手で器用にホックを外されるとブラをネクタイの上に落とされた。

「…あっ……んあ…やぁ…」

胸を持ち上げるとそのまま口に含んで先端を舌で舐め回される。恥ずかしいのに、気持ち良くて声が勝手に出てしまう。

手で口を抑えるも、「その声、好きだって言ってんでしょ?我慢しなくていいから…いっぱい聞かせて」と萩原くんに言われ、抑えていた手の甲にキスを落とされた。

そんなことをさらりとやってのけるのがまたかっこよくて、この人にこれからもっといやらしいことをされるのだと思うと奥がきゅんとなった。

「んっ…ちゅ…俺に揉まれて…またおっぱいおっきくなったんじゃね?」
「…あっ…やぁ…うるさ…い」
「いいじゃん…すげーエロい…興奮する…」

執拗に胸を責めてくる萩原くんの身体を無意識に脚で擦り合わせてしまっていたらしく、それに気付いた萩原くんは胸を吸いながら太腿を撫でて徐々にその手は私のパンツの中へと入っていく。

「…やあ…萩原くん…だめ…っ」

彼の手を思わず掴むが力で敵うはずもなく、びっしょりと濡れた割れ目を何度か撫でられた後ナカに入れられた。

「なに、まだ恥ずかしいの?俺にえっちなことされるの、もう何回目だと思ってんの…それに…おっぱいと一緒にこうされんの…好きだろ?」

私の必死な抵抗も虚しく奥にググッと入れられた長い指は激しく出し入れを繰り返す。

「あぁああっ…!萩原くんっ…そんな…やぁあ…!」

胸をしゃぶりながら知り尽くした私のナカを彼は的確に責め続ける。

「名前ちゃんのイヤは、気持ちいいって意味だもんね…?」
「ちがっ…ぁああ…止めてっ…」
「すっげぇ溢れてるよ、名前ちゃんのエロい汁」
「やだっ…だめ…ああっ…あっ…」

ぐじゅぐじゅと卑猥な音をわざと響かせたり、かと思えばイきそうになったところで指を抜く。今日の萩原くんはとことん意地悪だ。

「じゃあ、今度はこっちね」

そう言うと萩原くんはパンツを脱がし、脚を持って広げた。

「いい眺め…」
「だめっ…萩原くん…舐めちゃ…ああっ…」

じゅるじゅると吸われたかと思うと割れ目から舌を入れてナカを舐められる。生温かくてにゅるっとした舌の感触がすごくいやらしい。

それにこんなところに彼が口付けているというのが毎回恥ずかしくて死にそうになる。ただでさえ恥ずかしいのに萩原くんがわざと音を立てるから、イヤイヤと頭を押して離そうと抵抗する。

「無駄な抵抗はやめなさい。ほら、名前ちゃんのココ、ヒクヒクしてすげえやらしい…」

言われたくないことばかりわざと口にして言う萩原くん。むかつくし、恥ずかしいし、でもすごく気持ち良くて、もう訳わかんなくなって涙がじわっと溢れてくる。

「もう…やだぁ…」
「…はぁ、もっとじっくりいじめてあげたかったのに…そんなかわいい顔されちゃったら抑えきかなくなるでしょーが」

萩原くんは自身も裸になると大きく反り上がったソレを私のに数回擦り付けてぎゅっと身体を密着させるとナカに押し進めた。

「んっ…あ…萩原、く…ん」
「やべぇな…気持ち良すぎてすぐイっちまうかも」
「私も…気持ちいいっ…」
「あーだからやばいって言ってんでしょ…っ」
「あっ…ああっあんっ…」

いつもの余裕を無くした萩原くんが必死に腰を打ち付けてくる。普段の優しい彼からは想像出来ないような激しさで、思わずぎゅっと腕を回してしがみついた。

「…んっ…あっ…あんっ…」
「名前ちゃん、名前ちゃんからキスして」

彼のほうからこんな風にキスを強請るなんて珍しい。しがみついていた腕を離して両手で彼の頬を包むと唇を重ねた。

激しく揺さぶられながらも一生懸命舌を絡めていると、腰を掴んでいた彼がまたぎゅっと抱きしめてきてラストスパートをかける。

「ん…ん…ああっ…ふっ…んんっ…あっ…あああっ…!」

見つめ合って舌を絡めながら求め合い、私達は果てた。



息を整え、事後処理を終えるとぎゅっと優しく抱きしめられてキスをされる。触れるだけの、優しいキス。

「シャワー、先浴びてきな」

ふわっと微笑まれ、言われるがままに先にシャワーを浴びる。一応作ったけどご飯は食べていくのだろうか、すぐ帰られたら寂しいな、なんて悔しいけど思いながらシャワーで身体を洗い流していく。

気を抜いていると突然ガラッとドアが開き、萩原くんが入ってくる。

「え!?ちょっと…!」

つい先程まであんなやらしいことをしていたばかりだが、お風呂で見られるのはまた違う恥ずかしさがあって咄嗟に身体を隠そうとする。

「やっぱ一緒に入ろうと思って」

だめ?なんて言いながら私の手からシャワーを奪いもう片方の手は後ろから私を抱きしめていて、有無を言わせる気はないらしい。

てか、さっきしたばっかなのに当たってる…

「は、萩原くん…っ」
「もっかいシよ」

甘えた声でそう言いながら壁と萩原くんに挟まれて逃げ場を失う。

「名前ちゃんのこと、もっと欲しい」
「あっ…ちょっと…そんなとこに当てないで…!」

後ろからシャワーを私のアソコに当て胸を揉むと、首筋にキスを落としてその気にさせてくる。

「んんっ…あ…萩原くん…」

壁に手をついて振り返るとそのままキスをされた。ちゅっ…ちゅくっ…と深いキスをしながら萩原くんは私のナカに指を入れる。

「さっきシたばっかだからまだ濡れてんな」

そう言って口角をあげると後ろから自身を挿れてくる。

「あっ…んん…あ…」
「…名前ちゃんとする時さ、いつも出会った日のこと思い出すんだよな」
「…出会った…日の、こと…?」
「合コンに無理矢理連れてこられましたーって感じでつまんなそうにしてんのが気になってさ、俺があの手この手で笑わそうとしてもつれない感じなのがなんか逆に気に入っちゃって」
「…うん…しつこかった…」
「それが今ではこんなこと出来てんだもんなって思うと…すげえ嬉しい」

ずるいよ…そうやって身体だけじゃなくて心まで持っていこうとするの。でも引く手数多の萩原くんに、好きにさせた責任とってなんて言えない。そういう重い女、嫌いそうだし。今は萩原くんといる時間を手放したくない。いつか他の人を好きになるまでの間だけ、あと少しだけ…

「ああ…あ…あっ…」

腰を引き寄せ律動を早めていく萩原くん。浴室には肌のぶつかり合う音が響いていて、蒸気も相まってのぼせてしまいそうになる。

「俺こんな感じだけど、名前ちゃんのこと結構ガチで気に入ってるから…他の男とか見んの禁止ね?」
「はあっ…んんっ…あんっ」
「はぁ…はぁ…わかった?」
「んっ…わかんないっ…」
「じゃあ、わかるまでいじめちゃうね」
「いやっ…それだめえ…!」

私の気持ちを知ってか知らずか、自分勝手なことを言いながら萩原くんは腰を打ちつけたまま指でクリを責めてくる。結合部から漏れるぬるぬるの液がついた指で撫でられておかしくなりそう。

「イきそ?」

悔しくて首を横に振ると更に強く押し潰してきていじめられる。

「強情だねぇ、そういうとこがかわいいんだけど」
「あっ…あっ…あぁあああっ」
「ほら、好きって言って…?」
「あんっ…やだ…むりっ…」
「俺は好きだぜ、名前ちゃんのこと…」

いつもよりちょっとマジなトーンに思わず振り返ると唇を重ねて深いキスをされる。そのままパンッパンッパンッと激しく奥を突かれ続け、気を失いかけながらも一緒に絶頂を迎えた。



「今日、泊まってっていい?」
「え…いいけど…」
「明日休みっしょ?俺も休み取れたから、明日もずっと一緒にいよ。行きたいとこあんなら連れてくし」

滅多にないことに何か企んでるのかとじっと見つめれば、またいつものようにへらりと笑う。

「嬉しいくせにー」
「は?思ってないし、自意識過剰!」
「はいはい、いいからおいで」

ぎゅうっと優しく包み込まれた萩原くんの腕の中は、さっきとは別のいい匂いがした。ふたり一緒のボディソープの香り。好き、好き、大好き…

「萩原くん…キス、して」
「ツンデレ最高…」

満足そうに優しく笑った萩原くんは触れるだけだけど長めのキスをした。明日はもう少し、可愛く甘えたいと思いながら、心のどこかで彼に追われることを願っている私はきっとまたつれない態度をとってしまうのだろう。