07.出張先の夜※


「急で悪いが週末2人で九州へ出張に行ってもらえないか」
「え!?」
「え、マジっスか!やった、超楽しみ〜」
「ちょっと涼太、遊びに行くんじゃないんだから…」
「まあ取引先との打ち合わせを兼ねた会食なんだが、この間幹事をしてくれた礼もある。一泊して観光でも楽しんでくるといいよ」
「だってさ。よろしく、名前っち」

そんな会話をしたのが数日前。


「はー!?なんでよりによって黄瀬ちんとなわけー」
「しょうがないでしょ、赤司さんがこの間の幹事のお礼も兼ねてるって言うんだし…」
「だったら飲み会とかしてくんなくてよかったんだけどー」
「こら、そういうこと言わないの」
「…よかったねー黄瀬ちんと旅行行けて」
「ああ、もう…」

このやりとりはその日の夜。


「で?紫原っちと同じマンションって本当なんスか?」

そしてこれが現在、最近色々あった元彼と九州行きの飛行機の中。男性事情について尋問されている真っ只中である。

「何が「で?」よ。別に涼太には関係ないでしょ」
「関係あるでしょ…名前っちは大事な同僚なんだから」

大事な同僚…か。私も不覚だったとはいえ、そんな相手に手なんか出さなければいいのに。昔付き合っていたから軽い気持ちでえっちしたのかな…考えたって仕方のないことだけど。でもまあ、もう大人だしこういうこともあるっていうか…きっと深い意味なんてなかったんだよね。なのに、なんでそんな細かいことにいちいち反応しちゃってるんだろう。

「たまたま隣の部屋だったの」
「はぁ!?しかも隣!?」
「ちょっと飛行機の中なんだから大きい声出さないでよ…!」
「いや、だって…今まで全然そんな話聞いてなかったし」
「聞かれなかったし」
「え、あの後何もなかったんスよね?いや、もしかしてその前から…?でも名前っちオレとえっちしたしそれはないか…でもでも名前っちフリーだしあってもおかしくは…てか名前っちってそもそもフリーなの?紫原っちと実は付き合っててオレが浮気相手とか…えっ?ええっ!?」
「もううるさい…寝るから静かにしてて」
「ちょっと名前っち!」
「………」

ただの同僚にそんな質問攻めしてこないでよ、野次馬め。そんなこと言ったら涼太のほうが仲良い女の子社内にも社外にもいっぱいいるくせに…。そうだ、高校の頃もこうやってお互い嫉妬してケンカして別れたんだっけ。涼太がモデルの子と噂になったり学校でも女の子に囲まれてるの見て不安でいることに疲れちゃったんだよね…それだけ涼太のことが大好きだったから。そのくせ涼太って私には「さっき話してた男誰?」とか「スマホ見たい」とか束縛まがいのことしてくるし…思い出したら腹立ってきたな…忘れるためにも本気で寝よう。



「ん…」

飛行機の揺れで目を覚ますと涼太の肩で眠ってしまっていた。窓のほうに頭預けてたはずなんだけど、いつのまに…。

「ごめん、重かったでしょ」
「全然気になんなかったっスよ、オレもちょっと寝てたし」
「そう?ならよかった」
「とりあえずホテルに荷物預けて、時間までゆっくりしよっか」
「うん、そうだね」

ホテルに着き各々の部屋に荷物を置くとラウンジでお茶して時間を潰すことにした。

「いやぁ、それにしても…仕事とはいえ名前っちと旅行なんてなんか不思議な感じっスわ」
「本当だね。九州まで来る機会もなかなかないし、明日観光するの楽しみ」
「オレも楽しみで色々調べてきたんスよ。何個か候補あるから、名前っちの気になるとこ行こ」
「ありがとう。涼太センスいいから期待しちゃうな」
「名前っちの好き嫌いは知ってるし調べやすかったっスよ。ほら、これとか美味しそうじゃないっスか?」
「わー…!美味しそう、絶対行こ!」
「…ぷっ」
「ん?なによ」
「あはは、ごめんごめん。仕事で行くんだからって言ってたくせに子供みたいにはしゃいでるから、かわいいなって」
「む…。だって…」
「オレが調べたの見てそんだけテンションあがってくれたらこっちも嬉しいっス」

そう言って本当に嬉しそうに笑う涼太を見て、もしあの時別れていなければ…なんて一瞬考えてしまった。涼太と別れたことを後悔して、でもきっとまた同じことで上手くいかなくなると自分に言い聞かせて納得するしかなかった。涼太のこと、もっと信じてあげればよかったかもしれない…なんて、今だから思えるけどあの時はあの時で自分なりに必死に考えて選択してきたんだから仕方ないよね。

「もし別れてなかったら、仕事じゃなくて普通に旅行で来てたかもしんないっスね…なんて」
「え…?」

まさか涼太も同じことを考えていたなんて、と驚いた。なんだか少し嬉しくもあり切ない気持ちにもなった。

「ふふ、そうかもね」

けど、もう色々思うのはやめよう。涼太に深入りすると自分がまた苦しくなるってわかってるから。今のままの関係がきっと私達にはちょうどいい。



「黄瀬くんと苗字さん、今日はよろしくね」
「はい、よろしくお願いします。あ、これつまらないものですがよかったら受け取ってください」
「はは、わざわざ来てもらったのにお土産まですまないね。ありがたくいただくよ」

向こうの部長さんに持参したお土産を渡して挨拶を済ませると他の社員数名と顔合わせをして会食が始まった。

あくまでも仕事だしタダでお高い料理が食べられるとはいえ、気を張って食事をするのは苦手だ。なんだかんだ言いつつ家で紫原くんとのんびりくだらない話とかしながら食べるご飯が早くも恋しい。紫原くん、今日は何を食べたんだろう。コンビニとか宅配かな…それとも誰かと外食してるかな。明日は何か美味しいお土産でも買っていってあげよう。

それにしても涼太は本当に人の懐に入るのが上手いなぁと改めて感心する。正直あのコミュ力の高さは羨ましい。私も見習わないとな。

「部長、お注ぎしますよ」
「ありがとう。気が利くね」
「いえいえ」
「こっちにはいつまでいるんだい?」
「明日には帰ります」
「そうか、残念だな。せっかく来たんだし他の店にも連れて行きたかったんだが…」
「お気遣いありがとうございます。また是非よろしくお願いします」

そう言ってぺこりと頭を下げると部長さんはじっ…とこちらを見つめた後名刺に何かを書いて周りに隠すように私に握らせてきた。

「この後2人でどこかで飲まないか?実は新しいプロジェクトを考えているんだが…私としては是非君を担当として指名したいと考えている」
「え…あの…」
「その番号に後で電話して。この意味、わかるよね?」
「………!」

この人、いい人だと思ってたのにとんだエロ部長だった…!仕事を餌に枕に誘ってお尻まで撫でてくるとか最低…今時こんなセクハラドラマでも見ないっての。

あまりの気持ち悪さについ笑顔も引きつってしまう。しかしこんなことで大事なクライアントを失うわけにもいかない…と何とか耐えるもののどう上手く躱したらいいものか…。

「新しいプロジェクトかぁ、オレも気になるんで話聞かせてもらっていいですか」
「涼太…!」
「き、黄瀬くん…いや、この話はまだ計画段階でね」
「では決まり次第部長の赤司を通してご連絡をお願いします。今日は社を代表して我々が来させていただいている身ですので、個人間でのやりとりはお控えください」
「いや、今のは別にそういうわけじゃ…」
「そうでしたか。ですが、念のため一応ご忠告を…」
「………!」

涼太が耳打ちで何かを言うと部長さんは顔を青ざめて態度を一変してきた。

「私としたことが失礼をしたね、すまない苗字さん。少し酒を飲み過ぎてしまったようだ…今日はこの辺でお開きにしよう。君の上司へもよろしく伝えておいてくれ」
「は、はい…?」

一体涼太は何を言ったんだろう。気にはなるけれど、涼太のおかげでセクハラからも気を使う飲み会からも解放されたわけだから今はとにかく感謝する。

「涼太、さっきは助けてくれてありがとね」
「いいんスよあれくらい。てか、大丈夫だった?」
「うん、おかげさまで。私の方が一応先輩なのに、あれくらいも躱せなくて恥ずかしいよ」
「何のためにオレが一緒にいると思ってんスか。名前っちはもっと頼っていいくらいっス」

さっき部長さんの前で一瞬見せた冷たい笑顔が見間違いかと思うほど、今はいつもの涼太に戻っている。いざという時頼りになって優しいところ、やっぱり好きだな…。

「今日涼太が守ってくれてすごい嬉しかった。一緒に出張に来たのが涼太でよかったって改めて思ったよ」
「え…?」
「あ、いや…一泊の出張なら気心知れた涼太とか大輝のほうがいいなっては思ってたんだけど、やっぱ頼りになるし安心したっていうか…その…ああ…何言ってんだろ…とにかく深い意味はないから…!」

変なことを口にしてしまったと焦って弁明する私と打って変わって涼太はその様子を見て優しく笑う。

「名前っち、ちょっとオレの部屋で飲み直さないっスか」
「あ、うん。私ももう少し飲みたいなって思ってたとこ」
「じゃあコンビニで酒買って帰ろ。名前っちの好きなの買って今日の嫌なこと忘れちゃお」
「そうだね、そうする」

コンビニで買い物を終えた後、そのまま真っ直ぐ涼太の部屋へ行く。早くスーツを脱いで楽になりたい気持ちもあったけど、そんなに長居はしないだろうしスーツの上だけ脱いで乾杯する。

「んー、美味しい!やっぱりお酒は仲良い人と飲むのが一番だね」
「そうっスねー。あ、でも明日もあるんだし飲み過ぎはダメっスよ?」
「はいはい、わかってますー」
「ほら、こっち来て。明日の計画立てよ?」

ベッドに座りポンポンと隣に来いと促す涼太に従い隣に座る。

「さっき話した店がこれで、他にもこことか人気らしいっスよ」
「あ、可愛い。オシャレだね、さつきも好きそう」
「こっちの食べ歩きも良さそうだし、せっかくだから定番の観光スポットも…」

涼太のスマホを一緒に見ながら明日の計画を立てる。やっぱり、ただの同僚で友達だとわかっていても涼太といるとどうしても意識してしまう。涼太とは、この出張が終わったら少し距離を置いたほうがいいかもしれない。自分がまた、好きになってしまわないように。

「名前っち…聞いてる?」
「ん?ああ、ごめん…ちょっとぼーっとして…」

言い終わる前に唇を涼太に塞がれる。突然のことで一瞬頭がフリーズするも、心臓はうるさいくらいに激しく脈打っている。

ゆっくり涼太の唇が離れて視線が合うと今度は私の手を握ってくる。

「この間えっちした朝、本当はちゃんと言うつもりだったんスけど言いそびれちゃって…だから今日言おうって決めてた。名前っち、オレともう一回付き合ってほしい」
「涼太…」

正直、嬉しいって思ってしまっている自分がいる。ついさっきの決意なんて簡単に崩れてしまうほどに。人生で一番好きになった人でまた好きになりかけている相手からの告白…揺れないはずがない。でも…涼太を忘れるまでにかかった時間や苦しみも同じくらい私には大きなものだった。

「……ごめん」

この先涼太が別の人を好きになって付き合ったりしたら、きっと私は今日のことを後悔すると思う。でも、好きだから付き合うっていう簡単な話でもなくて…真剣だからこそ深く関わるのが怖い。

「オレとじゃ、嫌っスか…?」
「ううん、そういうわけじゃなくて…」
「じゃあ、他に好きな奴でもできた?」

不安そうに聞いてくる涼太の顔を見ているとなんだか涙が込み上げてきて、言葉を発するとこぼれ落ちてしまいそうでただ首を横に振った。

そんな私を抱きしめる涼太にせっかく我慢した涙が目の端から流れ落ちてしまう。

「ごめん、一度別れた相手とまた付き合うって簡単なことじゃないのわかってるのに…でも諦められない」
「…涼太のこと、また好きになるのが怖いの。ただの同僚だって何回自分に言い聞かせても…一緒にいると好きって気持ちが出てきて、苦しい…っ」

また好きになるのが怖いと伝えたはずなのに涼太は私の唇に自分のを重ねる。一度離して視線が合うとまた重ねられ、温かい舌に優しく絡めとられる。

「…ん…はぁ…だめ…」
「ずっと好きだった名前っちにあんなこと言われて、抑えらんないっスよ…」

涼太の肩を押し抵抗を見せるも涼太の気持ちは揺るがないみたいでブレまくりの私はそんな彼に押される一方だ。

「オレ、名前っちと別れたことすごい後悔してた。他の子と付き合ってみたりもしたけどずっと名前っちが忘れられなくて…だから会社で再会した時、運命だって思った」
「そんなこと…今言うなんてずるい…」
「元彼のオレに同僚として純粋な笑顔向けてくれる名前っち見てたらなかなか言い出せなくて…今更こんな話して嫌われるんじゃないかって…」

涼太がこんなにも真剣に私のことを想っていてくれていたなんて…。それに会っていない間の数年間、涼太のほうも私を忘れずにいてくれていたなんて思ってもみなかった。期待したら辛くなるって逃げることばかり考えていたから…。どちらかが自分の気持ちに素直になっていれば、もっと色んな瞬間を涼太と過ごせていたかもしれない。

「でも、オレがなりたいのはただの同僚でも仲の良い友達でもないからちゃんと伝えたくて。名前っちが好きだってこと」
「涼太…私…」
「今すぐ決めてとは言わない。けど…オレのこと、少しでも好きな気持ちがあるなら名前っちからキスしてほしい」

やっぱり涼太はずるい。今の私の気持ちを知った上でそんなことを言ってくるんだから。さっきの涼太の告白に「ごめん」の3文字を振り絞って出したのに、なんで納得してくれなかったのよ…「わかった」って言ってくれたらこんなに悩むことなんてきっとなかったのに。あんなに苦しい思いをしたのに感情を優先させてまた同じ過ちを繰り返してしまう学習能力のない自分が嫌になる。

「嫌い…」

涼太のネクタイをくいっと自分のほうに引いて唇を重ねた。離した唇はまた涼太に重ねられて
深いものになっていく。

「…ふっ…ん…」

背中に回されている腕の力が強くなって、優しくもどんどん熱くなっていく涼太の口付けに翻弄される。

口の中で混ざり合った唾液が端から流れて、苦しさに薄っすら瞼を開くと涼太の視線と絡み合ってまた身体が熱くなっていくのを感じた。

涼太はキスを続けたまま私のシャツのボタンを外してブラの上から胸を揉むと指を中に入れて乳首を撫でるように触ってくる。

「ん…ぁっ…」

見つめ合ったままそんなことをされて感じている顔を見られるのが恥ずかしくてまた目を閉じると唇を離した涼太が「だめ…オレにその顔ちゃんと見せて」と囁いてくる。

「あっ…んんっ…」

ブラを上にずらすと晒された胸に唇を合わせ音を立てて舐める涼太に思わず声が出てしまう。

「ん…名前っち、やっぱ昔より胸大きくなったよね…」
「やっ…あ…」
「エロくてすげえそそるけど…他の男にもこうされて育ったって思うとやっぱ妬けるっスわ…」
「あっ…ああっ…」

両胸を掴んで寄せるとぢゅるるるっ…と強く吸われ「ああっやあっ…!」と声をあげながら肩を押して抵抗するも逆に涼太に火をつけてしまったようで「本当に嫌か確かめてもいいっスか?」と座ったまま脚を広げられる。

「ちょっ…涼太…!」

私の抵抗をものともしない涼太はストッキングに指を立てるとビリッと破って下着の上からキスを落とす。

「やっぱり、シミできてる…パンツもう濡れてるよ名前っち」
「やだ…だめ…シャワーも浴びてないし…!」
「それが余計クるんスよねぇ…名前っちのえっちな匂い興奮する」
「バカ…変態…っ」
「名前っちのその顔すげえ可愛い…もっと困らせたくなる…」
「あっ…やぁあっ…」

人差し指でパンツを横にずらすと涼太の熱い舌が私の秘部に当てられてゆっくり舐め上げられていく。

「んんっ…だめ…涼太っ…舐めちゃやだあっ…」
「ん…だってこんなに赤く腫れあがってんのに舐めてあげなきゃ可哀想じゃないっスか」
「あぁっ…あんっ…ああっ」

ちゅっ…ぺちゃ…ぺちゅ…と音を立てて舐められ涼太の頭を押さえて離そうとするもぢゅううっと吸われて最初の絶頂を迎えてしまった。

「名前っち、その体勢つらいっしょ?オレが後ろからぎゅってしてあげるから体重預けていいっスよ」

そう言って涼太は私の後ろに来ると首筋に唇を這わせ片手で胸を揉むともう片方の手はパンツの中に滑り込ませぐちょぐちょになったソコを撫でる。

「あ…んんっ…」
「名前っちのココ、すごい熱い…」
「だって…涼太があんなことするから…」
「スーツ姿の名前っちにこんなことしてるの、背徳感もあってなんか止まんないっス…」
「んあっ…ああっ…」

何度も入口を撫でていた涼太の指がつぷっ…とナカに入って自分でも締まったのがわかった。

「ん…あっ…涼太…っ」
「気持ちいい…?聞かなくてもこの締め付け具合でバレてるっスけどね…」

すでにぐちょぐちょにされたソコからどんどん愛液が溢れ出ていく感覚に恥ずかしくなる。

「ほらっ…もっと気持ち良くなりたかったら脚大きく広げて…奥まで入れてあげるから…」
「んんっ…あっ…そこっ…だめ…!」
「すっご…グチュグチュ音響いてて…やらし…ここ好きなんだ…?」
「あっ…だめっ…激しくしないで…あっああっ」
「あー…やっば…名前っち可愛すぎ…っ」

スーツを乱されて涼太に責められている感覚と涼太の激しい追い込みに恥じらう余裕もなく脚を広げていやらしい喘ぎ声で鳴いてしまう。

「涼太…っ…あっ…出ちゃうっ…もう、止めてっ…!」
「いいよ…出すとこオレにちゃんと見せて…?」

尿意に似た感覚に襲われ涼太の腕を掴んで止めてと懇願するも涼太は指の動きを更に激しくして私を乱そうと責めたててくる。

「やだっ…あっあっ…あぁあっ…やあぁああっ…!」

ぷしゃあああっと自分のソコから吹き出たものに恥ずかしくなりつつもくたっ…と涼太に力無く身体を預けると涼太がキスをしながら押し倒してくる。

「名前っち、もう挿れるよ…?あんな姿見せられて、さすがのオレももう我慢すんの限界…」

私の服を脱がし自分もネクタイを解いてベルトを外すと大きく反り上がったソレを私の秘部に擦りつけてずぷっ…と挿れた。

「ああっ…」
「はぁ…やば…名前っちのナカ、気持ち良すぎ…」
「涼太…」

視線が合うとお互いきつく抱きしめて唇が重なる。どうしよう…今すごく幸せ…

「んっ…ぁ…んん…」

ゆっくり腰を動かしながら舌を絡めてくる涼太に声を漏らしながら応える。あったかくて、気持ち良くて、もう他の全てのことがどうでもよくなってくる。ずっと涼太とこうしていたい…

「名前っち…好き…大好きっス…」
「涼太…私も…好き…」
「ほんと…?あー…嬉しすぎてやばい…」

ちゅっ…とまたキスを落とすと腰の動きを早める涼太にドキドキする。

「んっ…あ…あんっ…」
「昔もこうやっていっぱいえっちしたよね…好きすぎて…誰よりも抱いたのに…まだ名前っちが欲しくて堪らない…」
「あぁっ…涼太っ…」
「オレのこと、もっと感じて名前っち…」

ぎゅうっときつく抱きしめられ奥をぐりぐりと責められて思わずシーツを握りしめる。

「ああっ…奥…きもち…」
「名前っちのそういう反応ほんとオレのツボなんスよねぇ…もっといじめたくなる」
「やっ…あぁ…すごい…お腹、苦しい…っ」
「奥…トントンしてほしい…?」

涼太を見上げてこくりと頷くとぱちゅ…ぱちゅ…と音を立ててまたナカが擦れていく。涼太の背中に脚を絡めてナカを密着させると涼太が声を漏らして「それ、ずるい…」と快感に悶えるのが可愛い。

「名前っち…もう手加減しないっスよ…オレの気持ちぶつけるから受け取って…っ」

そう言って涼太が乳首を舐めながら律動を激しくしてきて弱いところを同時に責めるから私から仕掛ける余裕はなくなった。

「あっ…あっ…気持ちい…涼太…っ」
「もっと名前呼んで…名前っち…」
「涼太…あっ…だめ…涼太っ…」
「はぁ…あっ…オレも…そろそろイきそ…」
「あぁっ…激しっ…んんっ…涼太…イくっ…!」
「…っ…オレも…名前っち、出すよ…っ」

お互いぎゅうっと抱きしめて最後にバチュッバチュッ…と激しくピストンされて奥に涼太の熱いのをたくさん注がれた。

「はぁ…名前っち…」
「ん…」

まだ瞳に熱が宿ったままの涼太に名前を呼ばれて繋がったままキスをする。

名残惜しそうに唇を離すと涼太は私の左手を取り薬指にも優しくキスを落とした。

「結婚しよ、名前っち」

お付き合いの返事もまだちゃんとしていないというのに、せっかちな彼にプロポーズをされてしまった。でも、縛られることを嫌う涼太が結婚を口にするというのは簡単な決意とは思い難く、私への気持ちの大きさが伝わって嬉しくなったことは認めざるを得ない。