「二宮匡貴は間違えない」について

一度間違えた二宮が再び夢主のもとに現れて、自分が間違えたところを一つずつ回収していく話でした。記憶処理ものは一度書きたかったので満足です。
二宮は夢主が魚派なことを知らず(聞かず)焼肉に連れて行ってたし、夢主の好きなものを『そんなもの』と断じたことがあるし、夢主が一生懸命「二宮のことが好き」って伝えてもわざとそれに応えなかった……過去の罪を列挙するととんでもない悪人ですね。そりゃ加古ちゃんもキレます。

人それぞれの読み方があり、今回はあえて行間多めで書いたのでお好きな解釈で読んでいただきたいのですが、私の中では二宮は夢主の好意に気づいていながら「こいつが俺から離れることはない」とタカをくくって応えず、それにとうとう我慢ならなくなった夢主が逃げた…という設定でした。夢主が二宮のことをさっぱり忘れているので、二人は学校が違って、ボーダーでしか接点がなかったんでしょうね。ふたりが過去付き合っていたという読み方もできると思いますが、そうすると夢主が何も言わずに消えたのは少し無責任かなあ…夢主をそういう子にしてしまいたくないなあ…と思ったのと、ボーダー外で一切デートとかしたことない恋人…?と思ったので。(それはそれで二宮が愛想尽かされる理由にはなりそうですが)
夢主が記憶処理されたのは素行等の問題ではなく、本人からの希望があったからだと思います。

夢主(前科一犯)に「今日のことを一生忘れない」とか「黙って離れたりしない」って言わせるの、業が深くて少し興奮しちゃいましたね…。この夢主は何かがあればまた失踪する。頑張れ二宮。(そういう意味でタイトルは『二宮匡貴は間違えない』)
あと、結局夢主も(どうせすぐ連絡して仲直りすればいいし)って二宮のこと蔑ろにして結局自業自得で連絡取れなくなって、って二宮と同じことしてるんですよね。破れ鍋に綴じ蓋というか、似たもの同士というか、因果応報というか、興奮するというか…

今作の二宮は糖度高めに書けたのでとても楽しかったです!とくに「二宮はすぐに私の腰に腕を回して支えると私の顔を覗きこんだ。」のとこが好きです。二宮、恋人にあまあまだったらこれくらい過保護ムーブしてくれるのかな…と思いながら書きました。
併せて夢主も可愛く書けて満足です。二宮との写真を見て「私こんな顔してるんだ」って気づくシーン、めちゃくちゃ可愛くないですか…!?ここ書いてる時の記憶ないんですが、なんでこんなこと思いつけたのかなあ…
あと記憶なくす前の夢主は結構ツンケンしてた(私がよく書くやつ)のかな…と思いながら書いていたのですが、二宮さえ素直になればこんなに穏やかな子になるのか…と私もまるで二宮の追体験をしている気持ちで書いていました。夢主が手に擦り寄ってくるところとか、無邪気に笑うところとか、二宮は今愛しさと後悔を噛み締めてるんだろうな…と思いながら書きました。
記憶なくす前の夢主は二宮のこと「匡貴」呼びだったらいいなあ。再会して「二宮さん」呼びになって、二宮が堅苦しいのはなしだと言ったから「二宮」呼びになったけど、二宮は(こいつはもう俺のことを匡貴とは呼ばない)と噛み締めたんだろうな。だからこそ、ふたりが結ばれた日に夢主から「匡貴」と呼ばれて二宮は手が震えるほど嬉しかったのかなあ。

加古ちゃんは二宮一人のために自分たちまで切り捨てる決断をした夢主と、そうさせた二宮に怒っていますが、今の夢主に言っても仕方がないので二宮限定別れさせ屋になってます。それはそう。
二宮は散々粗末に扱っておいて今さら虫が良すぎるし、彼女は二宮以外が考えられなかったから記憶を消したのに結局二宮を選んだし…って外から見てたらめちゃくちゃ歯痒い関係なんですよね。私はこの話はハッピーエンドというよりはメリーバッドエンドかな…と思ってます。二宮が償う方法は永遠に失われてしまったので。
夢主も過去のことについてさすがに色々と勘づいてはいますが、「過去の自分が忘れる決断をしたのだから知らないほうがいい」と積極的に過去を思い出そうとはしていません。
匡貴と離れる決断をした過去より、匡貴と一緒にいる未来のことを考えよう……だから匡貴も過去の私より今の私を見てね。

当初は上記の通り夢主はあまりにも脈がなくてしんどくなって逃げたという設定で書いていたのですが、イメソンの『Step into』を聴いていたら、夢主は自分の記憶をベットして一世一代の賭けに出て、見事それに勝ったのかな…と思うようになり、その解釈良〜〜〜〜‼️‼️と思ったので今はそっち寄りで考えています。
小説書いてる時は作業用で音楽流してても歌詞がちゃんと頭に入っていないので、書き上げたあと聴いたらあまりにもこの話のイメソンでびっくりしました。最初は夢見がちな女の子の曲というだけで作業用BGMにしてたのですが、これあまりにもこの夢主の曲では…(とくに「大事なもの?指輪じゃないよ 当てて?」のとこ)と思ってさらに新しい解釈まで付与してもらってここ最近で一番創作ってたのし〜〜‼️と思った瞬間でした。自分の作品については解釈がガチガチに固まりがちなので、自作品で解釈の変化を体験するのは新鮮で楽しかったです。「運命を超えた先で君とまた出会う」シチュや「めんどくさい愛でも愛してね?美味しいとこだけ Empty me」って女の子、大好き…
(2023/09/02)