花火大会



テスト期間恒例となっている、『米屋に勉強を教える会』を、いつものファミレスでしている時だった。
「なんでいつも付き合ってくれんの」
腕に顔を埋めた米屋に下手な鎌をかけられた。まあ確かに、米屋に勉強を教えるより一人で勉強した方が圧倒的に効率的なんだけど。
「……米屋さあ、それ私に言わせていいやつ?」
言っていいなら言うけど?と薄く笑って煽ると、米屋は唸りながら視線を逸らした。
「……来週の花火大会でオレから言う……から言わなくていい……」
「うん」
「……花火大会一緒に行きませんか」
「うん」

──花火大会当日、髪をまとめて浴衣に身を包んで待ち合わせ場所に行くと、髪を下ろして浴衣を着た米屋がいて、思わず笑ってしまった。
「今日決めにきすぎでしょ」
「そのまま返すわ」



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