温もりもそこそこに



ずっと昔に消えてしまったハレルヤ。まだ僕の中にいますか?最近君の夢を良く見ます。何故かって?それは多分僕の息子が日に日に君みたいになっていくからだと思います。
今だってほら。僕はただコーヒーを飲んでいるだけなのに、部活から帰って来たルカが僕の前に仁王立ちになって…。目!その目!恐いから。15歳の目つきじゃないから!

「父さんさ、昔スポーツとかやってたわけ?」
「え?」

品定めするようにアレルヤを上から下まで見やったルカが唐突に切り出した。予想外の質問に、アレルヤは思わず聞き返す。すると彼は、だからさ・と肩にかけていたスポーツバッグを床へ下ろしながら続けた。

「父さん医者じゃん?なのになんでそんなに身体鍛えられてるわけ?身長無駄にでかいし、腰細いからひょろいのかと思ったら結構がっしりしてるし」

無駄にでかいって。ひょろいって。ああハレルヤ、ルカはいつの間にこんなに口が悪くなってしまったんだろうね。昔は本当、可愛かったんだよ。今も可愛いのは変わらないけど、小さい頃、マリアの後ろをついて歩くルカはマリアと同じで天使みたいだったのに。…ノエルの前では素直なんだけどなぁ。顔だけじゃなくて中身もどんどんハレルヤみたいになってるよ。

そんなことより、彼の質問だ。スクールのバスケ部に所属しているルカは日頃より自分の体格を気にしているようだった。成長期だし身長はまだまだ伸びると思うけど(今は170センチもないのかな?)、ノエルの栄養バランスのとれた絶品料理をいっぱい食べている割には細い。なんというか…もやしっこ?マリアもだけど、なんでうちの子はみんな細いんだろう。ノエルも細いから遺伝?なんて思う。

「スポーツかぁ」

正直、これといったスポーツをしていたわけではない。当然だが彼くらいの頃には既にソレスタルビーイングにてガンダムのパイロットとしてそれ相応の訓練を受けていたし、それに準じて身体を鍛えていたのは確かだ。でもそれをそのままルカに言うわけにもいかず。どうしたものか。

「ルカみたいにひとつのことをやっていたわけじゃないんだよね。色々やってたというか」
「例えば?」

苦笑してはぐらかそうとしても鋭い突っ込みが飛んでくる。ああルカ。そんなに目を輝かせないで。罪悪感に襲われるから。

「筋トレはずっとやってたかな。後…身を守るために格闘技というかまあ護身術というか…そんなのもしてたかも。後は射撃、かな?」

とりあえず当時の訓練内容を少し言葉を変えて説明してやる。筋トレは長時間の戦闘に耐えるための身体造りと体力をつけるためにやっていたし、護身術はまあ肉弾戦になった時のために訓練メニューに組み込まれていた。元々自分は超兵として生み出されたのだから、身体は他の人たちよりも丈夫だしそれなりのことは練習しないでも出来ていた。射撃は、勿論MSに乗る際に必要な能力。ロックオン程じゃないけれど、時には必要になることもあった。だから訓練は必要だった。
ルカ、お願いだからもう満足して。これ以上突っ込まれても僕は何も答えられないんだよ!

「ふーん…やっぱり筋トレは必要、か」

祈りが届いたのか、ルカは納得したように頷いた。良かった、これでもうこの話題は終わりかな?とりあえず笑顔を保って動揺を悟られないようにしていれば、「じゃあさ、」と彼が好奇心に沸いた瞳を輝かせて聞いてくる。

「食事とかは?何食べてたらそんな身体になれるの?」

なんとなく話題が逸れたことに助かったと思いながら、これは正直に「食事ならノエルが作ったのを食べてたよ」と言ったところまでは良かった。当時から既にソレスタルビーイングの衛生管理者だったノエルの食事を食べて生活していた。16くらい、今のルカよりちょっと成長したときくらいからずっとかな、と言ったところでルカが首を傾げた。

「16?父さん、いつから母さんと一緒にいるわけ?」
「…え?」

子どもたちにノエルとの出会いについては話したことがない。それを語る上では確実にソレスタルビーイングが関連してくる。自分達がソレスタルビーイングに所属していたことは平和な世界で生まれた子どもたちは知る必要がないと黙っていた。…あれ、もしかして僕は今ものすごく深い墓穴を掘ったのかな?
さーっと血の気が引いていく。それを見てキランッと生き生きしいまでにルカの目が輝いた。
当初のルカが投じた話題から逸らすことには成功した。けど、今度はもっと危ない話題に転換してしまったことは確かだった。…どうやって切り抜けたらいいんだろう、ねえハレルヤ!?

END


「なになに?そのときからもう母さんと一緒にいたわけ?父さんやるね〜。てゆかどこで知り合ったわけ?ニール兄の紹介?」
「…!(ノエル早く帰ってきて!!)」

(20081129)





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