輝く日常

「少し、浮かれてしまったのかも知れませんね」
 いつものように困ったように笑う男は、少し赤い顔をしてそう言った。
「ねえ、大丈夫?」
 普段はこれくらいじゃ酔わないのにと思いながら、ナマエは横に腰掛けている彼の、リーブの手に自分の手を重ねてそう聞いた。
「ええ、大丈夫ですよ」
「疲れてるんでしょ」
「いいえ、そんな。あなたの誕生日を共に過ごせることが嬉しいからですよ」
 忙しいのは常だからなんでもないのだと言うように、リーブはくしゃりと笑って見せる。むしろ、こういう日くらいしか時間を取ってやれないのだと思いながら。それも数時間の話なのに。
「もう少し、時間のほうは――」
「それはリーブでしょ?」
 時計を見ながら言うリーブに呆れながら、ナマエは聞き返す。
「私は問題ありませんよ。では少々、外へ」
 そう言って促すと、重ねられていたナマエの手を取ってリーブは立ち上がった。
 店を出て少し寒くなり始めた季節。お酒で火照った体も時折震えそうになる。そんな中を温かい手を繋いで歩いていく。
 その先は最近やっと開発が落ち着き始めた場所だった。そこはイルミネーションはなくとも、季節に寄り添おうと色とりどりのオーナメントが飾られていた。それは街の灯りを反射して、キラキラと輝いているように見えた。
 これから先の季節は、関心が薄い人はいてもたくさんのイベントがある。この街の人たちは、少しずつ日常を取り戻しつつあるのだと分かる光景だった。
「この景色をあなたにお見せしたかったのです。新しい始まりを見せようとするこの街や人々の、現在から続く未来を。ナマエさんの新しい1年が、希望を感じさせる未来へと続くものになりますように」
 ナマエはリーブらしいと思った。プレゼントなど形あるものも嬉しいけれど、リーブが嬉しいと思うものを共有できること。それを自分に伝えてくれる、そんな相手になれることも、大切な関係を築けているのだと分かる嬉しいこと。
「誕生日おめでとうございます」
 今日、何度目かのその言葉を、リーブは再び口にした。
「今日はリーブにたくさん言ってもらってる」
「何度でも言わせてください」
「ありがとう」
「あなたに出会うための、あなたの大切な日なのですから」



ふぅさんが!きょ、きょ、局長を!!!う、誕生日って最高だな……と…………なんかこうわたしの理想のリーブさんて微笑みながら街を眺めてるみたいなところがあってそれをそのまま表現してくれて本当に幸せで……リーブさんがここに……ここに「いる」…………すごく嬉しかったです。本当にありがとうございました……!