薄暗い店内に暖色の灯り。バーカウンターに1人座る女性。木目の美しいカウンターに、コトっと静かに置かれるオレンジの液体の入ったカクテルグラス。奥には所狭しと並べられた、とりどりのお酒たち。
入り口のベルがカランと上品に鳴り、真っ直ぐな背筋でゆったりと歩みを進める男。
「お待たせいたしました。突然お誘いしてしまいすみません。今日はあなたの誕生日だとお聞きしまして、どうしてもお会いしたかったのです」
バーテンダーに自分も同じものをと頼み、リーブは本当に申し訳なさそうな顔で彼女の隣へと座った。
「何か予定はありませんでしたか?」
顔をそっと覗き込んで聞くリーブに、彼女は静かに首を横に振った。
彼女はそっとカクテルグラスを口へ運びながら、嬉しそうに綻んだ口元を隠す。それならよかったとリーブが安堵の声を漏らした。
「誕生日おめでとうございます。よろしければこれをどうぞ」
リーブはトルマリンのような水色のリボンが可愛げに巻かれた、小さな小さな鉢植えに植えられた一株の花を差し出す。
彼女は驚きつつも嬉しそうにその花を受けとる。目を細める仕草にリーブが、少し安心したような笑顔を見せた。
「あなたの様だと思ったのです。天真爛漫に好きなことを語っていらっしゃるあなたの様だと」
まるで太陽のような色合いの花。黄色とオレンジが燃えるように大きく開くそれは、煌びやかであり、彼女の明るい人柄を表しているようだった。
リーブがグラスに口付けて、オレンジの液を小さく嚥下する。
「ああ、柑橘系の香りがいいですね。酸味もあり、スッキリと飲める。眠ることのない華やかな街の灯りを求めているようだ。あなたにオススメいただいたミュージカルも確か……」
と言いかけてリーブは口を閉ざした。少しやってしまったというような顔で彼女を見る。
「すみません。あなたの誕生日なのに。これを飲み終えたら外へ出ませんか? 出来ることなら、その……2人になりたいのですが」
暖色の灯りでもわかるほどに、リーブの顔がほんのりと赤い。それでも優しげな目はイエスかノーか、返事を求めるようにまっすぐ彼女を見ていた。
彼女はリーブの手を……。
10/25
誕生花:ガイラルディア
誕生石:トルマリン
誕生酒:ブロードウェイ・サースト
香月ふぅさんからはTwitter上でいただいたのは「鈍い輪」の方なのですが、実はDMで別にこちらもいただいていたんですね、そして1日中時間に合わせてリーブさんが食事つれてってくれたり起こしてくれたり……さ、さいこうでした……ふぅさんに実際に好きなミュージカルおすすめしたり好きなものについて語ったりしたのがお話しの中に入ってるの、ときめき、ますね……うれしかったです、ありがとうございました……わたしはりーぶさんの手を取りたい……