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交わらない視線
もどかしきかな



1.

この時間。
この場所。
あなたは必ず通る。


「こんにちは、土方さん」

「あぁ、朔か」

「今日も市中巡りですか?……沖田さんいないみたいですけど」

「……今探してる最中だ」

「ふふっ、そうなんですか?いつもお疲れ様です」



たくっ、アイツは…なんて溜息を吐く土方さん。

煙草吸う仕草。
たまに見える微かな笑顔。

気づけば目が追っていた。


「もし、総悟が来たら見回り来いって言っといてくれるか?」

「はい、いつものように」

「悪ぃな。じゃあ、頑張れよ」

「ありがとうございます。土方さんも頑張ってくださいね」



また、なんて手を振って見送る。
なんてことない。
私達はただの知り合い。
毎日たったの五分間言葉を交わすだけの間柄。


叶わない想いを抱いていることは重々承知済み。
彼は他の誰かを想ってる。
それが誰かなんてわからないけれど、その目線の先に想い人がいるのくらいわかる。

2.
だって、私も土方さんが好きだから。



「……好きになったって無駄なのにねぇ……」


漏れ出る言葉に苦笑する。
無駄だとわかっていて止められないのが感情であることを知っているから、厄介だ。



3.
「なら、そろそろやめたらどうですかい?」

「あら、沖田さん。それは無理な問題よ。恋心はなかなか消えないものなの」

「…あんな土方ヤローのどこがいんだか……」

「ふふっ、内緒。さぁさぁ早くお仕事に戻りなさいな」


行ってらっしゃいと送り出せば、沖田さんは怠そうに歩きだした。


「土方さんのことで泣きたくなったらいつでも呼んでくだせぇ。慰めてあげますぜ?」


ニヒルに笑って去っていく沖田さんにまた苦笑する。








交わらない視線三方向
あぁ、もどかしきかな
けれど、あぁ、好きが止まらない





視線
この一方通行に終点はあるのでしょうか


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