伊達工業はバレーボールの強豪校と知られている。そんな強豪校で、1年からレギュラーを張っている彼に私は一目ぼれをした。
可愛らしい見た目、誰よりも小さな身長の彼は誰よりも必死でボールを追う姿はとてもかっこよかった。そして気が付いた時には私は彼に恋に落ち、気が付けば告白をしていた。
「でも…バレーが優先です。」
そう言われても引く気はなく
「2番目でいいから、付き合って!」
そう言って彼女の座を掴んだけど、作並君は1年で私は2年。しかも、放課後は部活ばっかりで週末もほぼ部活の彼とは会えない。そんな彼と唯一会えるのは、お昼休みくらいだったのに…
先週は地獄だった。試合前でもないのに…
地獄の1週間…地獄の昼休み…
月曜日、私は作並君とお弁当を食べる約束をしていた。だけど、お昼になって作並君の連絡は来ず、お昼休みが半分過ぎた頃、私は一人でお弁当を食べた。だけど廊下から聞こえたのはバレー部マネージャーと作並君の声だったから私は無意識に彼を呼び止めていた。
「なまえさん…ごめんなさい!今日、お弁当食べる約束…」
一気に顔色が青ざめていく作並君に
「嘘!作君、なまえちゃんとご飯食べる予定だったの?ごめんね、仕事手伝わせて…なまえちゃんもごめんね?」
必死で謝る舞ちゃんを見て
「気にしないで?作並君の優しいところが好きだから。」
これは本音だった。でもここで、私以外の人に優しくしないでって思うけどそんなわがままは言えない。わがままを言ったらめんどくさいって思われるからだ。だからぐーっと我慢して
「明日!明日は一緒にお弁当を食べましょうね?」
そう言って作並君と約束したけど…
火曜日
「作並!一緒に飯食おうぜ?
久々じゃん。茂庭だけじゃなくて作並も居ると先生たちに目ぇつけられねーんだよ!」
鎌先先輩の言葉に作並君は戸惑ったが
「久しぶりに飯食おうぜ?おごってやる…牛乳をな?」
笹谷先輩がいつの間にか作並君の肩を抱いていた。仕方がなく私は
「作並君、久しぶりの先輩との時間を楽しみなよ?
IH予選終わってから、全然会ってないでしょ?」
そう言えば作並君は嬉しそうに笑ったが、困った顔しながらも嬉しそうに茂庭先輩は
「作並…ごめんな?恨むなら鎌ちと笹やんのリア充への僻み根性を恨んでな?」
そう言ったが
水曜日
“追分先生に呼ばれたからごめんなさい
明日こそは一緒にお昼食べましょう”
そう連絡が入り
木曜日
私のクラスまで来てくれたのに…
「作並!みょうじと飯食うくらいなら、バレー部の今後について話し合おうぜ?」
二口の邪魔が入る。
「でも…」
「作並、主将命令に従えないの?青根、今から小原を集めようぜ。」
二口の嫌がらせに、青根は申し訳なさそうな顔をした。
金曜日
私は作並君のクラスまで行くと
「作並ぃ!課題終わんないよ…助けて…」
作並君がすごいと言っていた大型セッターの黄金川君に泣きつかれていたが
「黄金川君!共同課題じゃん…どうするの…」
作並君が困っていたのを見たから
“ごめん。レポートやってないから月曜日。月曜日に一緒にお弁当を食べよう?
お詫びにお弁当を作るね?”
そう連絡を入れると
“僕も課題が終わってませんでした。
なまえさんの手作りお弁当、楽しみです!
週末の練習試合も勝ちます!
月曜日こそは…絶対に一緒にお弁当を食べましょうね!”
作並君の言葉が嬉しくて、料理がそんなに得意じゃない私は必死に簡単でおいしく食べられるメニューを考えた。そこまでするのは作並君が好きだからだった。
そして約束の月曜日…作並君は私のクラスまで迎えに来た。私は作並君の元へ行こうとすると…
「作並ぃ〜…悪い。今日だけなまえちゃん貸して?」
え…?普段は名字で呼ぶくせに、いきなり名前呼び?しかも…ちゃんづけ。嫌な予感しかしない…
「なまえ様…一生のお願い。課題、助けて?」
な…やっぱりそういうことか…。作並君にお弁当だけ渡すか…そう思った瞬間
「お断りします。」
え?
「課題は共同課題じゃないんですよね?
だったら…青根さんに聞けばいいじゃないですか。」
今まで見たことがないくらい冷たい顔にドキッとするが二口は軽いノリで
「なんだよー。そんなに怖い顔をして…いい子の作並ちゃんはどこへ行きましたか?先輩の言うことは絶対…」
「練習試合…全部勝ちました。だから、今週は二口さんのいう事は聞かなくてもいいって約束ですよね?」
一体…何の約束したの?
だけど二口は悪びれることもなく
「なんだよー!作並ちゃん、彼女だろ?
いつでも会えるのが…」
「いつでも会えないから言ってるんです。」
え…?
「いつでもなまえさんは僕にバレーを優先させてくれるんです。
僕はそんな、なまえさんが好きです!
だから僕は…お昼休みだけはなまえさんを優先します。
誰に何と言われようが、なまえさんとお昼を食べます。
だから…二口さんは離れてください。」
そう言って、作並くんに腕を引っ張られ、教室を出て中庭に行くと作並君は座り込んだ。
「気分悪い?」
思わずそう聞けば…
「違います…なまえさん、ごめんなさい。」
そう言った。私は思わず作並君をぎゅーっとして、何がと聞けば
「こんなわがままな彼氏…困りますよね?」
え…?
「だって…なまえさんが僕にバレーを優先させてくれるのに、僕は…
二口さんに触れられたことが嫌なんです。それに…なまえさんのことなまえちゃんって呼ぶことも腹立ちます。」
突然のヤキモチ発言に私はすごく幸せになって、思わず笑い
「大丈夫だよ、作並君。
お昼ご飯食べよう?」
そう言ってお弁当を広げると、作並君は美味しいとお弁当を食べていたけど
「さっきさ、ちゃん付けしたいって言ってたでしょ?
私もこーちゃんって呼ぶからちゃん付けにして。」
そう言えば、作並君はむせた。
「だって…クラスメイトの前で好きって言ったんだもん。だから?」
少し意地悪だったかなーと思っていると突然、視界が消え、柔らかいものがそっと触れる。
「なまえちゃん…」
消えるような声で私の名前を呼ぶとおでこにキスをされる…
「大好きです…。もう授業始まりますよね?
行きましょう?」
最大級の笑顔で作並君は腕を伸ばし、私はその手を取ると
「今日からも部活と勉強頑張れる気がします。」
そう言ってはにかんで笑った。
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