【act.02 HS】
ジフナが新人グルのメンバー選びに呼ばれた。
面白そうだなって思ったから、俺らも全員で着いて行った。
すでにメンバーに決まっている5人の中で知ってる顔が3人居た。後の2人は知らないけど、まあ良いグループになりそうだなと思う。
『ここからが本番だ。』
代表の言葉のすぐ後に、再びスクリーンに映像が映し出される。
“じゃあ次、#name1#ちあき”
“はい”
日本人?
グループに3人も日本人が入る事に悩んでるのかな?
“曲は?”
“日本の曲です”
SG「日本の曲歌うなんて珍しいね。」
HS「そうだな。」
イントロが掛かって、彼女の息を吸う音が聞こえた。
“ねぇ言って ちゃんと言って
私に聞こえるように 大きな声で
もう泣かないでいいように”
……え?
全身に鳥肌が立った。
彼女の歌い方、仕草、息遣いのひとつひとつ全てがある人と同じだったから。
双子なんじゃないかってくらい、同じだと思った。
気が付けば涙が出てた。
DN「ヒョン!何で泣いて…ってホシヒョンも泣いてるの!?」
…え?ジフナも泣いてるの?
視線を移すと、ディノの言う通りジフナも泣いていた。
WZ「はい、俺は…上手いって言葉では表しきれないくらい凄いと思いました。ずっと鳥肌も止まらなかったし、泣いてたのは無意識でした。でもそれくらい彼女の歌には人を魅了する何かがあると思います。」
さすがジフニだと思った。
勿論、ある人と同じだったから衝撃を受けたのはあるけど、実際それだけじゃない。
ただのモノマネではなく、彼女自身から溢れる何かもあった。
『他には?』
WZ「彼女の歌唱力は、他のメンバーとは段違いです。確実に浮くと思います。なので彼女ならグループよりソロの方が俺は合ってると思います。」
確かにこの歌唱力でアイドルグループは勿体無いかもしれない。
でも…俺は見てみたいと思った。
グループで活躍する彼女を。
HS「…代表。」
軽い咳払いをしてから代表に声を掛ける。
『どうした?』
HS「この子のダンス映像はありませんか?」
MG「見たい!」
ミンギュも他のメンバーも見たい!と騒ぎ出す。
俺はこの子のダンス映像を見て、何をしたいんだろう。
ただの自己満かもしれない。
それでも、見たかった。彼女の踊る姿を。
“ダンス曲は?何にした?”
“SHINee先輩のピカソです”
“……オッケー。”
SG「ヒョン!SHINee先輩の曲だって!」
DN「ピカソって凄いハードなダンスナンバーだよね?」
HS「…うん。」
曲が掛かると、歌の時と同じように表情が変わる。
“青の時代
淡いContrast
冷たく深く静かすぎるSadness
Don't cry tonight”
MG「え?歌いながら踊ってる?」
MH「凄いね。」
画面の中で踊る彼女を見て、確信した。
でもきっとそれに気付いてるのは俺だけだ。
もしかしたらジフニも気付いてるかもしれないけど、少なくても他のメンバーは気付いてないだろう。
でも彼女は日本人だよね?
なのに何で…。
ダンス映像が終わった後、自然と拍手が起こった。
彼女は、歌もダンスも完璧だった。
完璧にあの人だった。
『今日は急に呼び出して悪かったね。ありがとう。』
結局彼女がどうなるのか分からないまま、シアタールームから追い出された。
メンバー達は盛り上がってるけど、俺はそんな気になれなかった。
彼女どうなるんだろう。
あの5人グループに入ってデビューするのか、それともジフニが言ったようにソロデビューするのか。
たぶん、デビューさせないって事はないだろう。
あの人に似てるとは言え、彼女自身の要素もしっかりあったし、モノマネだけとは言えないくらい歌に感情が込められてた。
グループでもソロでも間違いなくブレイクするとは思う。
宿舎に戻っても何だかずっとモヤモヤが消えない。
ジフニは何してるんだろう。
部屋にいるかな?
重たい腰を上げジフニの部屋のドアをノックすると、部屋の中から「ん?」と声が聞こえてドアを開けた。
WZ「どうした?」
HS「いや、なんか凄いモヤモヤして。」
俺の言葉に「ああ。」と頷きながら起き上がるジフニ。
HS「あの子、どうなると思う?」
WZ「俺は代表にも言った通り、ソロ一択だと思うんだよな。」
まあ、あの歌唱力ならそうだよな…。
逆に他のメンバーが可哀想だもんな。
WZ「でも、それが出来ないから代表も悩んでるんじゃない?」
HS「え?ソロでデビューできないって事?」
WZ「うん、何かそんな反応してたんだよ。」
そうだったんだ…。
そこまでは気付かなかった。
HS「ソロでもグループでもどっちでもいいから、デビュー出来るといいな、あの子。」
WZ「どんな形であれ、あの子は絶対にデビューするだろ。もししなかったら俺がプロデュースしてデビューさせるわ。」
おお、うちの鬼PDにそこまで言わせるとは。
HS「そしたら俺はダンス講師するわ。」
WZ「そうだな、頼むわ。」
まだジフニがプロデュースするなんて決まった訳じゃないのに、俺らはその後もデビュー曲はどんなのが合うとかコンセプトはどんな感じにするとか、そんな会話を夜中の3時まで繰り広げていた。
気が付けばモヤモヤは無くなっていた。
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