【06 VN】

なまえヌナが居なくなって、もう少しで4ヶ月になろうとしてる。
日本でのコンサートの時に、もしかしたら来るかもしれないなんて淡い期待をして会場を探したけど、僕の知ってる姿はどこにもなかった。

ジュニヒョン、ミンギュヒョンはヌナが居なくなった日からずっと元気がない。
それどころか、今までヌナに大して関わってなかったヒョン達までも元気が無くなっている。

SG「ボノニは全然変わらないけど寂しくないの?」

既読の付かないヌナとのトーク画面を見つめながら覇気のない声で話しかけて来た。

寂しくないか?なんて何を言ってるんだ。
寂しいに決まってる。

ヌナが僕たちと合流して、宿舎に住むようになって皆んなが学校に行く中、僕とヌナ、そしてミョンホヒョンとジュニヒョンだけが家に残ってた。

ジュニヒョンとミョンホヒョンは中国人同士でわかり合ったいたけど、ヌナは日本人で韓国語もままならなかった。

チャイナのヒョン達とは漢字を使ってコミュニケーションをとってるようだった。

ある日、宿舎に僕とヌナしか居ない時があった。
僕しか居ないのにいつものようにリビングの隅っこで韓国語の勉強をしてるヌナを猫みたいだなと見てるとバチっと目が合った。

何だか逸らすのも変な気がして、ヌナに声をかけることにした。

VN「今僕しか居ないんだから、こっちに来てください。」

ヌナにも通じるようにゆっくりと話す。

「え、だ、大丈夫です。ありがとうございます。」

辿々しい韓国語が何だか可愛くて思わず笑ってしまった僕に、ヌナは何だかアタフタし始める。

何にアタフタしてるのか分からないけど、見たことのないヌナの姿が何だかとても嬉しくて、もう一度ヌナを呼んだ。

ヌナは何故か当たりを警戒してから、3回目でやっと僕の方に来てくれた。

VN「韓国語、難しい?」
「はい…発音が特に…。あと、単語!いや、文法もだし…。」

全部じゃん。

VN「僕が教えてあげます。」

僕の言葉に一瞬目を見開いて驚いた表情を浮かべたあと、迷惑がかかるとか、なんか色々言ってたけど無視してたら諦めたのか、おとなしくなった。

それから宿舎に2人でいる時は韓国語を教えていた。
ヌナは自分のことを全然話さないし、何を考えているか分からないことの方が多いけど、不思議と沈黙も嫌ではなかった。

たまには外に出ようって僕から外に連れ出してカフェに行ったりもした。

VN「なまえちゃんの髪って僕と似てるよね。」

ヌナの髪の毛は太陽の光に当たると、僕と同じで栗色に輝く。
柔らかくて、少しくせっ毛なヌナの髪質は僕やソフィアと似てると思う。

「気に入ってる、この髪。」
VN「僕も好き。なまえちゃんの髪も。」

ヌナは少し驚いたように目を見開いたけど、直ぐに少しだけ照れたように笑ってありがとうと呟いた。

お揃いみたいだし、チャニやスングァンに兄妹みたいだって言われてて嬉しかった。
ヌナも照れたように嬉しそうにしてた。

それなのに、MV撮影の現場に現れたヌナは真っ黒なショートヘアになっていた。

SG「ヌナ、髪の毛…」

スングァンがヌナに駆け寄って、短くなった髪の毛に触れる。

「男の子みたいに…見えますか?」

ヌナの言葉に驚いて言葉を失ってるスングァン。ヒョン達も少し驚いたようにヌナを無言で見てる。

ヌナへの誹謗中傷が沢山あることを僕と何人かは知っている。
韓国語を覚えれば覚えるほど、ヌナから笑顔が消えていってることも気付いていたし、元々スキンシップが多い方じゃないのに、カメラの前ではさらに僕たちとのスキンシップを取らなくなった。

じゃあカメラのないところでは多かったのかと聞かれれば、もちろんそうでもなく、どんどん溝は深まっていく気がしてた。

MH「男の子に見られたいの?」

ミョンホヒョンの言葉にコクリと呟くヌナを、ミンギュヒョンもジュニヒョンも悲しそうな目で見てる。
僕だって悲しい。

誹謗中傷から少しでも逃げるためにそんな事を言ってるんだと思う。

「…どうかな?」
VN「…うん、似合ってるよ。」

不安そうに短くなった髪を触りながら聞いてくるヌナに、似合ってると伝えると、小さく「ありがとう」と呟いて、何事もなかったかのようにストレッチを始めた。

ヌナがショートヘアになろうが、黒髪になろうがもちろん似合っている。
ヌナが心からショートにして黒髪にしたいんなら、僕だってヒョン達だってもっと喜んでたと思う。

でもそうじゃない。
男に見せるために、気に入ってた髪を切り、真っ黒に染めたんだ。

デビューして3年、ジアヌナは染めたり普通にずっとロングヘアだったりしてたけど、ヌナはずっと黒髪のショートヘアだった。

VN「またロングヘアのなまえちゃん見たい…。」
SG「僕も!ボノニと同じ栗色のロングヘア見たいな…。」
DN「僕も見たい…。」

いつかまた、ありのままのヌナが見れる日が来ればいいな…。
もしそれがSEVENTEENじゃなかったとしても、僕はずっとヌナの味方でいよう…。




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