ROOM 404 ― 恋愛禁止の家で、秘密と恋が始まる ―

Episode14

『届かない名前』

― 伝えたい想いはある。でも、その名前だけはまだ書けない。 ―

Day:Sunday(共同生活14日目)



Scene7

📖 404 Diary(第3回)

Sunday|10:00 PM

テーマ

「今日、一番笑顔だった人へ」



午後10時。

404 HOUSEから少しずつ話し声が消えていく。



リビングの照明だけが静かに灯り、

スタッフが小さな木箱をテーブルの上へ置いた。



箱の中には、

11冊の404 Diary。



それぞれの表紙には名前はなく、

ただ番号だけが記されている。



スタッフのアナウンスが流れる。



「本日は、第3回404 Diaryです。」



「テーマは――」



『今日、一番笑顔だった人へ』



「名前や、相手が特定できる内容は書かないでください。」



「書き終えたDiaryは、木箱へ戻してください。」



静かなBGMが流れ始める。



メンバーは一冊ずつDiaryを受け取り、

それぞれ自室へ戻っていった。



チアキの部屋

机の上にDiaryを開く。



昼間の写真が頭に浮かぶ。



笑い合った時間。



夕焼け。



「おいしかったですね。」



「楽しかったですね。」



そんな何気ない会話。



ペンを持ったまま、

少しだけ考える。



そして、

ゆっくりと書き始めた。



今日、

あなたがたくさん笑っている姿を見て、
私まで自然と笑顔になれました。

一緒にいると安心できる人がいることは、
とても幸せなことなんだと感じました。

今日もありがとうございました。



最後まで書き終えると、

小さく息を吐く。



「伝わるといいな。」



誰にも聞こえないほど小さな声だった。



ミンギュの部屋

Diaryを開いたまま、

しばらくペンが止まる。



「今日、一番笑顔だった人。」



考えなくても、

すぐに思い浮かぶ。



それでも、

名前は書けない。



少し笑いながら、

書き始める。



今日、

あなたが笑うたびに、
周りのみんなも笑っていました。

そんな空気を作れる人って、
すごいなと思います。

また一緒に笑えたら嬉しいです。



書き終えたあと、

少し照れくさそうにDiaryを閉じた。



ウォヌの部屋

静かな部屋。



窓の外では虫の声が聞こえる。



ウォヌは短く、

丁寧な字で書く。



今日、

あなたが景色を見て笑った顔が、
とても印象に残っています。

その笑顔を見て、
今日という日がいい一日だったと思えました。



それ以上は書かなかった。



短い文章。



でも、

何度も読み返してからページを閉じる。



スンチョルの部屋

ペンを持つ手が止まる。



「今日は本当に、みんな笑ってたな。」



少し考えてから、

穏やかな字を書き始める。



あなたが笑っていると、

周りも自然と笑顔になります。

今日の景色が、
もっと楽しく感じられたのは、
きっとその笑顔のおかげです。



「よし。」



静かにページを閉じた。



スングァンの部屋

「難しい!」



思わず声が漏れる。



「今日みんな笑ってたじゃん!」



頭をかきながら笑う。



「一人だけなんだよなぁ……。」



しばらく悩み、

勢いよく書き始める。



今日、

あなたの笑顔を見て、
『来てよかった』って思いました。

また一緒に笑ってください!



「これだ!」



満足そうに頷いた。



ジョンハンの部屋

ジョンハンは一度ペンを置き、

窓の外を見る。



「笑顔って、

その人が安心してる時に出るものだから。」



小さく呟く。



そして静かに綴る。



今日、

あなたが心から笑っているように見えました。

その笑顔を見られたことが、
今日一番嬉しかったです。



ページを閉じる指先は、

どこか優しかった。



リビング|10:35 PM

一人、

また一人。



木箱へDiaryが戻されていく。



誰も送り先を口にはしない。



誰も、

「誰に書いたの?」

とは聞かない。



それが404 Diaryのルール。



名前は書けない。



送り主も、

受け取る人も、

今はその想いだけを届ける。



リビングの時計が、

午後10時半を知らせた。



11冊のDiaryは静かに木箱へ収まり、

スタッフが大切に蓋を閉じる。



明日の朝。



この言葉たちは、

それぞれの送り主の元へ、

“返事を書くために”

届けられる。



【STAFF NOTE】

「今日、一番笑顔だった人へ。」



同じテーマでも、

選んだ相手はそれぞれ違う。



誰かは、

一日中隣にいた人へ。



誰かは、

たった数分しか話さなかった人へ。



笑顔とは、

一番長く一緒にいた人ではなく、

一番心に残った人へ向けられるものなのかもしれない。



けれど、

Diaryには今日も名前は書かれない。



想いは届く。



それでも、

その想いの持ち主だけは、

まだ誰にも分からない。



次回 Scene8

Sunday|Interview

テーマ

「今日、一番自然に一緒にいられた人は?」

漢江で過ごした一日を振り返りながら、

11人は少しずつ、自分の心の変化にも向き合い始める。




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