【act.24 なまえ】

“今日も行くか?”
“行く!”
“もう出れる?”
“すっぴんだけどいい?”
“いいよ、じゃあ迎えに行くな”
“はーい”

カトクを閉じて部屋を出る。

「宇宙工場行って来る!」
SY『了解!あんまり遅くならないでね?』
「はーい。」

チャイムが鳴って玄関を開ければ、似たような服装のジフニが立ってた。

AY『ペアルックじゃん!』
WZ「たまたまだよ。」
「うん、たまたま!じゃあ行ってきまーす!」
AY『達者でなー!』

大きく手を振ってお見送りしてくれるアヨンオンニ。

「私たちはこれから戦場にでも行くのかな?」
WZ「まあある意味戦場だな。」

セブチのマネオッパにカフェでコーヒーとパンを買ってもらってから宇宙工場に来る。

ウォヌにキスされた日以来振りに来る宇宙工場。
わたしのお気に入りの場所なのに、あの日のことを思い出して何とも言えない気持ちなる。

コーヒーを飲みながらパンを頬張る。

WZ「何曲か作ってみたりした?」
「うん、何となくメロディみたいなのは作ってみたけど…聞くの?」
WZ「聴くだろ。」
「ですよね。」

パンを頬張ったまま自分のパソコンを開いて、活動の合間に何となく思い付いたメロディを貯めておいたフォルダを開く。

「やばい、なんかめっちゃ緊張してきた。」
WZ「俺評論家じゃないから。」
「そう?まあ、取り敢えず流すね。」

自分の曲を聴きながらパンを食べるのは変な気分だ。

WZ「いいじゃん!」
「え、まじ?」
WZ「嘘言ってどうすんだよ。いいこれ。」
「嬉しい!」

ジフニに褒められると何か凄い嬉しいんだよね。

WZ「その調子で頼むわ。俺もこれから細かいとこやる。」
「うん、分かった!」

ジフニは慣れた様子でヘッドフォンを付けると、さっそくパソコンと睨めっこを始める。
私もやるか!グッと伸びをしてから、同じようにヘッドフォンを付ける。

楽器ができないからパソコンで打ち込みしてるけど、やっぱり楽器弾けた方がいいよな…。
ジフニは何でも出来る、羨ましい。

それから数時間、お互いに一言も発することなく作業を進めてると、宇宙工場のドアが開いてボムジュオッパが入って来た。

BJ『おー!やってるねー!調子はどうだ?はい、差し入れー!』
「オッパ!ありがとう!ねぇ!ちょっとこれ聴いてみてー。」
BJ『早速かよ!いいぞ。』

ヘッドフォンをオッパに渡して今作ってた曲を流す。
オッパは黙って聞いた後、パソコンをカチャカチャと操作し始める。

BJ『これどう?』
「…わ、やばい!やっぱりオッパ天才!」
BJ『当たり前だわ!』

オッパが手を入れてくれて、ずっとモヤっとしてたものが解決した!

「ジフナ!って聞こえないか。」
BJ『俺の存在にも気付いてないな。』

作業に集中すると1人の世界に入るから、私たちが入って来ても気付かない。
声を掛けようかなって思うけど、集中力が途切れたら悪いなって思ってかけれない。

ジフニが作業してる背中を見てるのが好きだからいいんだけど。

BJ『最近どうだ?ずっとここに引きこもりか?』
「うん。2人でずっと作ってる!たまにスヨンオンニとかスンチョルオッパが差し入れ持って来てくれるけど、それ以外はジフナが入れない。」
BJ『他のやついたらうるさいもんな。』

まあねーと呟きオッパが差し入れてくれたアイスカフェラテを飲む。

BJ『たまには息抜きしろよ!』
「うんー、私よりジフナに言ってあげて!」
BJ『俺よりなまえから言った方が話聞くと思うぞ?』

そうかな?
いや、絶対オッパの話の方が聞くでしょ。

BJ『もうすぐなまえの誕生日か。この調子だと気付いたらここで誕生日迎えてるんじゃないか?』
「そうかも!でも、ジフニが居るからいいや!」
BJ『そうか。じゃあジフニにいっぱい祝ってもらえよ!』
「そうするー!ってオッパ行っちゃうの?」

立ち上がったオッパを見上げる。

BJ『差し入れ置きに来ただけだからな、俺もお前らの編曲しないとだし!じゃあまた来る!』
「はーい!ありがとうー!」

オッパを見送ってアイスカフェラテを一口飲む。
ジフニはお腹空いてないかな?

WZ「…疲れたー!ってそれ何?」

ヘッドフォンを外しながらグッと伸びをしたまま椅子を回転させるジフニ。

「今ボムジュオッパが来て差し入れしてくれたよ!」
WZ「そうだったんだ。後でお礼言わないと。で?曲は出来ましたか?」
「オッパに聞いてもらって、手入れてもらったら完成した!」
WZ「順調じゃん!聴かせて。」

私はいつもロックとかパンクっぽい曲しか書かない、と言うか書けない。
でも、今回はどうしてもそれ以外の曲を書いてみたくて、頑張って作ったのがミディアムテンポのバラード曲だった。

「…ど、どうですか?」

曲が終わり恐る恐るジフニに聞く。
オッパはいいって言ってくれたけど、やっぱりジフニに褒められたい。

WZ「…めっちゃいいじゃん。これ、歌詞もなまえが1人で書いてみたら?」
「え?」
WZ「新しい挑戦だろ。お前なら出来るよ。」

何だろう、ジフニに言われると本当に出来そうな気持ちになる。

「頑張ってみる!」
WZ「おう!今日は早く切り上げるか。明日アワードの練習だし。」
「そうだね!」

それから夜の8時まで作業してご飯を食べて宿舎に戻れば、アヨンオンニに今日は門限守ったなって頭を撫でられた。

…え、私門限あったの?

「門限って何時なの?」
AY『10時。』
「いや、早いからㅋㅋㅋ」




ノベルに戻る I Addict