メイク室をノックするも誰もいないのか中から返事はない。
鍵は空いてたのでそっとお邪魔して、ドアに鍵をかけようとしたのに、ドアが急に引かれた。

そのせいで勢い余ってその人の胸に抱きつく形になってしまう。

あぁ…、何で居るんだろう…。
この一年嫌というほど嗅いだ匂いは、一瞬で誰だかわかってしまう。

「…すみません。どうかしましたか?私これから着替えるので会場にもどっ…」
MG「何それ。」

無理矢理メイク室に入って来て後ろ手で鍵を閉めるミンギュ。

MG「今度は俺じゃなくてジョンハニヒョンなの?」
「ちょっ、何言ってるんですか?着替えるので早く出てって下さい。」

迫って来るミンギュの表情は部屋が暗くてよく分からない。でも声色から少し怒っているようにも感じる。

MG「ジョンハニヒョンに迫られて拒否してなかったじゃん。」
「え?いや、あれは…。」

突然の出来事だったし、何より熱を測っただけでジョンハンさんも深い意味はない。

MG「………ク。」
「…え?ちょっ、や、やめて!誰か来たら困っ…」
MG「誰かって誰?ジョンハニヒョン?俺は別に困らないけど。」

そう言って私をソファーに押し倒し、上に跨り片手でネクタイを外すと、私の首元に顔を埋める。

「…いや、やめて…!」
MG「静かにして。」

唇を乱暴に押し付けらたまま、ドレスのせいで簡単に弱い部分に触れられた体は、嫌なのに熱を帯びる。

「…ねぇ、お願いだから、やめて…」
MG「………っ。」
「……んっ…いや…」

あまり濡れていないそこに、無理矢理押し込まれた欲望はピリッと傷んだ。
だけど、心の方が痛くて痛くて、吐きそうだ。

MG「なまえのせいだから。」
「……っ…」

痛くて痛くて吐きそうなのに、快感はちゃんと襲って来る。

「…んあっ…待っ…んっ…」
MG「…そうやって俺の中で素直に鳴けばいいよ…」

やだ…やだ…嫌なのに…

MG「…っ、いく…。」

頭がぼーっとしてる。熱のせいなのか、それともいったからなのか…。

MG「……ごめん。愛してるよ。」

私の涙を親指で拭い、優しくキスを落とすと、ミンギュは部屋を出て行った。

真っ暗な部屋に取り残された私の目からは止めどなく涙が溢れて来る。

私はミンギュの何なの?愛してるなんて思ってもないくせに…。
ああ、もうだめだ。辞めよう。

出された欲望を拭き取り、着てきた私服に着替え、ドレスをハンガーにかけパンプスを整える。

ドレスもジョンハンさんから借りたジャケットも汚れてはなさそうで安心した。

それでもジョンハンさんは敏感だから、クリーニングして返そう。

メイクを落とし、髪もいつものようにひとつにくくり会場に戻る。

会場を見渡すと、戻っていると思っていたはずのミンギュの姿も、ヨンアさんの姿も無かった。
何と無くそういうことだろうと察した。

壁に寄りかかってるジョンハンさんを見つけて近づく。

「遅くなってすみません。あの、もし寒くなければクリーニングしてからお返しします。」
JH「……いや、いいよ。」
「でも…」

急に眩暈がして、膝から崩れそうになるのをジョンハンさんに支えられた。

「すみません…ありがとうございます…。」
JH「熱凄いよ!帰ろう!送るから。」
「え?いや、大丈夫です…、1人で帰れま…」
JH「なまえ!?なまえ!」

遠くでジョンハンさんの綺麗な顔が歪むのが見えて、私を呼ぶ声と共に意識を手放した。




暑くて目を覚ました。
…あれ?ここ、私の部屋?

見慣れた天井に途中で途絶えた思考回路を必死に辿る。

ああ、そうだ。
私会場で倒れたんだった。

私の上に積み上がったありったけの上着。
きっとオッパが送ってくれたんだろうな。それにしても掛けすぎだけど。

喉乾いたな…。
ゆっくりと体を起こし、ベッドを抜け出す。

………え?

リビングのソファーに見慣れた綺麗な顔の男性が、スヤスヤと眠っている。
起こすべき?いや、でも気持ち良さそうに寝てるし…オッパ達は知っているんだろうか…。

…取り敢えず水でも飲もう。

起こさないようにそっと冷蔵庫を開け水を取り出す。

「…なまえ?起きたの?俺にもちょうだい。喉乾いた。」

背後から私の手にあるペットボトルを取り、グビグビと水を飲むと、ん!とそのまま渡される。

「…え?あの、ジョンハンさ…」
JH「え?じゃなくて、なまえも喉乾いたんでしょ?汗凄い。」
「あ、はい…。」

何も考えずに言われた通り水を飲む。

JH「間接キス。」
「は?」
JH「ふふっ、ごめんごめん。」

イタズラに笑うジョンハンさんにため息をつき、もう一度水を飲んでから冷蔵庫を閉める。

JH「熱は?大分下がった?…って何で逃げるのさ。」

さっきみたいに顔が近付いてきて慌てて後ろに体を逸らすと、不貞腐れた表情に変わった。

「いや、あの、すみません…。今私汗凄いので…。」
JH「だから?いいから来て。」

腕を引かれ一瞬のうちにジョンハンさんの顔が近付く。

JH「まだ熱いね。なんか食べてお風呂入って薬飲んで寝よう。」
「…はい……。って言うか忘年会はどうしたんですか?」
JH「なまえが倒れたからマネヒョンに家の住所聞いてここまで連れて来たの。ウォヌも来てたんだけど少し前に帰ったよ。」
「そうだったんですね…。折角の忘年会だったのにすみませんでした。」

ぺこりと頭を下げると、くしゃっと頭を撫でられた。

JH「ウォヌが色々買って置いてったからそれ食べよう。お風呂入れて来てあげるからなまえは毛布にくるまってて。」

なんて言ったものの、ジョンハンさんは機械に弱くて、結局私が自分で入れた。

ウォヌさんが買ってくれたと言うおかゆを食べる。

JH「なまえって猫舌なんだね。」
「そうなんですよ…。それよりありがとうございました。私が皆さんを送らないといけない立場なのに…。」

情けない。プロミのマネージャーしてた時はこんな事なかったのに。

まあ忙しさも段違いだけど…。

JH「立場とか関係ないでしょ。俺にとってなまえもメンバーも変わらないくらい大事な人だし。」
「ジョンハンさん……。泣かせようとしてますね?」
JH「ははっ!そんなことしてないよ!本当にそう思ってるだけ。メンバーもみんな俺と同じ思いだと思うよ。」

そう思ってもらえてるなら嬉しい。
まあ、ミンギュはそんなこと思ってないだろうけど…。
後でウォヌさんにもお礼言わないとな…。

ご飯を食べ薬を飲む。
後はお風呂で汗を流して寝れば大丈夫だろう。

「ジョンハンさん、今日はありがとうございました。タクシー呼びますね。」
JH「え?俺帰らないよ?」
「え?は?」

驚く私に心配だから見張っとけってオッパ達にも、ウォヌさんやウジさんにも言われたと。
だから今日は泊まっていくと、何食わぬ顔で言われた。

「オッパ達まで…。」
JH「そう言うこと。だから早く」





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