【23.絆に期間は関係ない〜SC〜】

いつも冷静なジフニから少し慌てたように電話が来て、急いで指定された場所に向かったら、ジフニは制服姿の女の子を大事そうに抱えていた。

顔は見た事なかったけど、すぐになまえちゃんだとわかった。

最低限の傷の手当てをするジフニ。
ジフニが女の子にこんなに優しいなんて、本当になまえちゃんは凄い子だな…。

ホシもソクミンも最近なまえが食堂に来ないからつまんないって騒いでたしな。

SC「俺ミンギュ迎えに行くわ。」
WZ「ありがとー…」

この場面にあまり相応しくない賑やかな曲が部屋に流れる。

WZ「こいつのセンスㅋㅋㅋ祭りかよ!」

一度切れたと思った電話は、また続けてなり続ける。

SC「もううるさいから出て!この曲夢に出る!」
WZ「確かにㅋㅋㅋ」

極力なまえの体に触れないようポケットからスマホを取り出すジフニ。
紳士だなーなんて思ってたら、また鳴り出す祭り曲。

WZ「しつけーってミンギュだ。」

ジフニが電話してる間に、ミンギュを迎えに行く準備をする。

WZ「今スンチョリヒョンの家に居るから、学校終わったらすー…あ…。」
SC「どうした?」
WZ「切られた。人の話最後まで聞けよ!」

はあっと溜め息を吐き、なまえのスマホをテーブルの上に置く。

SC「迎えに行く?」
WZ「いやすれ違いになるかもしれないから。」

まあ、そうだな。
アイツならすぐ来るだろう。

SC「コーヒーでも呑むか?」
WZ「うん。」

ジフニは心配そうにただなまえを見つめてる。
触れもせず、ただ見つめるだけ。

SC「ジフナにとってのなまえちゃんはどんな存在?」

マグカップをテーブルに置きながらジフニに問い掛ける。

WZ「俺に取ってか…どうなんだろ、分かんない。けど、こいつの周りはいつも笑ってる感じ。ソクミンみたいな、ハッピーな気持ちになるんだよな…。バカすぎて突っ込み面倒だけど。」

ふふっと笑って湯気の立つマグカップに視線を落とすジフニに、そっかとだけ呟いた。

WZ「今の俺らの雰囲気を変えれるのは、こいつぐらいしか思い付かないわ…。」
SC「じゃあ元気になってもらわないとな。」

コーヒーを飲もうとマグカップの淵に口を付けた瞬間、チャイムが連打された。

SC「うるさい!なまえちゃんが起きるだろ!兎に角入れ。リビングにいる。」
MG「お邪魔します!なまえ!……え…。」

汗だくで息を切らしてるミンギュ。
どれだけ急いで来たんだろう。

ジフニが触れなかった手にそっと触れるミンギュ。

MG「起きたら煮て焼いて食ってやるから覚悟しろバカ。」

そう言ってなまえちゃんの顔見て微笑むミンギュ。

ミンギュとなまえちゃんはまだ出会ってから半年ぐらいしか経ってないはず。
それなのに、痛いくらいお互いを思いやってる気がする。

そりゃ夫婦って言われるよな…。
ジフニがなまえちゃんの加入の話をミンギュに相談した。

WZ「旦那かどうかはともかく、お前の意見聞きたいんだよ。特に今は尚更…。」

ジフニの問い掛けに、ミンギュは少し俯いたあと、ゆっくりと口を開いた。

MG「こいつが入ったら楽しいんだろうなって素直に思う。まあ、うざいし、面倒くさいし、うるさいけど。

俺はこのバカが陰で1人で泣いてるのだけは絶対にやなんだよ。バカなんだからずっと…笑ってればいい。俺のそばで、俺らのそばで。

だから、こいつが…なまえが俺らといて楽しいとか、一緒にいたいと思うんなら、俺は歓迎する。」

いや、待って!もはやプロポーズじゃん!!!
聞いてるこっちが恥ずかしくなるわ!

WZ「じゃあ後はなまえ次第だな。他のメンバーにも話さないとだけど、皆んななまえは気にいるから問題ないだろ。」

ジフニやジョンハニとすごい速さで打ち解ける奴なんてそうそう居ないしな。

MG「スンチョリヒョンとかウォヌヒョンにすら、このままの感じで行きそうじゃない?」
WZ「怖いもの知らずだしな」

顔を見合わせて笑ってる2人を見て、ちょっと羨ましいと思った。
俺も早くなまえちゃんと仲良くなりたいなって。

MG「いやヒョン、バカなだけだよ。」
WZ「そうか、バカだもんね。」
MG「うん、かなりのバカだね。」

いや、いくら寝てるからってバカバカ言い過ぎじゃー…

「…もー!バカバカうっさー…は!?ちょっ、痛い!無理!死ぬ!」
MG「こら!バカ!怪我してんだから起きないで!あーもう!スカート!!!」
WZ「相変わらずだな。」

急に怒りながら起き上がろうとしたなまえちゃんだったけど、痛さで再び倒れてる。
何処ら辺で目が覚めてたのか気になるのは俺だけか?

それともこいつらは気付いてたのか?

MG「何処痛い?」
「全身。」
MG「車にでも轢かれたのか?」
「いや、キリンの群れに遭遇した。」
MG「…ピンクの?」
「…うん。」
MG「ん、そうか。」

ポンポンとなまえちゃんの頭を撫でるミンギュ。

…え、いやそんなんでいいのかよ。しかもピンクのキリンの群れって何!?メルヘン!!!
確かになまえちゃんが助けを求めるまで何にもしないとは言ってたけど…。

「キムミ…」
MG「ん?」
「ここ何処?」
WZ「今更かよ!」

ジフニの突っ込みにハッと目を見開くなまえちゃん。

「まさか…天使様の部屋!?イヤン!破廉恥!」
WZ「ミンギュ、デコピンしていいぞ!」
「え!?」

ギュッと目を瞑るなまえちゃんに、全然痛くない優しいデコピンをするミンギュ。

WZ「で?どうしたら俺の部屋になるんだ?」
「意識遠くなる前に天使様が見えて、あ、お迎えに来たって思ったのが最後の記憶なんだよね!」
WZ「残念ながら俺が迎えに行ったのはミンギュ、お前はついで。」

その言葉になぜかミンギュの二の腕をパンチするなまえちゃん。
なぜ!?

MG「何で殴るんだよ。」
「キムミに負けたからだよ!」
MG「何の勝負だよ!」

ハニとかジフニが言ってたけど、本当になまえちゃんといる時のミンギュは俺らと居る時と全然違うな。

SC「ふはは!ジフニの言う通りだな。いつものミンギュじゃないわ!」
MG「ちょっ、ヒョン!それどう言う意味!?」
WZ「だろ?あ、なまえ。ここ、ヒョン部屋だからな。」

なまえちゃんの視線がやっと俺に向く。
…え?めっちゃガン見?

「…キムミ!キムミ!キムミ!」
MG「うるさい!何だよ!」
「イケメンのラクダがいる!」
SC「おい!誰がラクダだよ!!!」

思わず突っ込みを入れて、ハッとした。
あー、みんなが言ってたのはこれだって。

「てか、私めっちゃ汚いじゃん!え!?こんな汚いのにイケラクさんの家のソファーで寝てんの?」
MG「そうだよ。感謝しろ。俺の家だったら廊下だぞ。」
「家の中の?」
MG「エレベーター前の。」
「せめて家の中に入れてくれよ!」

なんだこれ。

WZ「イケラクㅋㅋㅋ」
「天使様がツボってる!」
MG「はいはい、いいからちゃんとヒョンに挨拶して!」

急にソワソワし始めるなまえちゃん。
犬を見てるみたいで面白い。

「起きるか!…はあっ!!!キムミ!!ヘルプ!」
MG「ほんと、バカ。」

ミンギュに支えられながらゆっくりと上半身を起こすなまえちゃん。

「は、初めまして!わたくし、みょうじなまえと申します!そこの大型犬と天使様よりヌナです!ソファーは出世したら買うので、しばしお待ちを!」

なまえちゃんの自己紹介に肩を揺らして笑ってるミンギュとジフニ。

MG「お前は絶対出世しないㅋㅋㅋ」
「うっせ!」

さっきまで、2人ともすごく心配そうになまえちゃんを見てたのに、今じゃすっかり笑顔になってる。
本当にすごい子だし、ジフニが推薦するだけある。

SC「初めまして。チェスンチョルです。俺はなまえちゃんとタメだから残念ながらヌナじゃないかな?よろしく。」
「スンチさん、よろしくでー…くそ、痛くてお辞儀もできやしねーよ。」
MG「お前が悪い。」
「何でだよ!」

ミンギュがキムミで俺がスンチか。
まあ、別にいいっちゃいいけど…。

でも、何でジフニが天使なんだろ?
ハニじゃないのか?

「てかキムミ、まだ授業終わってなくない?」
MG「うん。」
「サボるなよ〜!」
MG「うるせー!お前がキリンの大群と遭遇するからだろ!」
「え!?キムミも遭遇した!?大丈夫!?無事か!!!」
MG「俺はお前がいないといつも遭遇すんの。」

2人の会話はよく分からない。
でも不思議と成り立ってる。

MG「だから大人しく俺の周りにいろ。」
「いや…でも……キリンが…」

いや、だからキリンってなに!?
ヒョンにも分かるように教えて!

会話の内容とは裏腹に、2人の間に少しシリアスな雰囲気が流れてる。

MG「お前がしたいようにすればいい。」
「…私は、私は…キムミにボディービルダーを諦めて欲しくない!」
MG「俺はお前にキリンの群れに遭遇してほしくない。」

…あ、もしかしてキリンってなまえちゃんをこんな目に遭わせた奴のことを言ってるの?
でもなんでミンギュはすぐ分かったんだ?

てかミンギュがボディービルダーって何?
全然分かんない。

WZ「腹減ったな。」
「わたしも。」
SC「俺も。」
MG「いや、空気読んで!!!」

楽しそうに笑ってるミンギュとジフニとなまえちゃん、そして俺。
練習室でも最近こんなに笑ってないと思う。

やっぱりなまえちゃんはすごい子だな…。

MG「出前とってヒョンのおごりで。」
SC「え、なんで俺?」
「ごちそーさまです!」
SC「なまえちゃんまで!?まあ、いっか。何食うんだ?」

MG「ピザ!」「ピザ!」

2人の呼吸がぴったりで、夫婦って呼ばれてる理由が分かる気がした。




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