「……頭痛っ……っ!!!」

……………ん?
……え?
…え!?
えええ!?!?!?

は?何!?え!?
てか、何で私…それより何で…?

綺麗な寝顔…ってそんな事思ってる場合じゃない!
ここどこ!?

あーもう!何してんのよ!私!

ダブルベッドですら狭か感じるくらい大きな体とは裏腹に、綺麗な顔で眠っている彼を起こさないようにそっとベッドから抜け出そうとゆっくりと体を起こす。

私の服は…あっちのベッドか…。
シーツ持って行っていいかな?

そっとシーツを引っ張る。

「…っ!!!」

いや、分かってたよ、子供じゃないし。
この状況がどう言う状況かくらい分かるし、相手もきっと一糸乱れぬ姿だと言うことも想像はしてたけど…。

こんな間近で鍛え上げられ筋肉を見るのは、ちょっと刺激が強過ぎる。

どうしよう…。
裸を隠せそうな物は脱ぎ捨てられた彼の服以外何も無い。

彼を跨げばすぐ取れるけど、さすがに無理。
こうなったら素っ裸でもう一つのベッドまで行くしかなさそうだ。

…どうか起きませんように。
そっと手を合わせてベッドから出ようとした時だった。

「……っ!」

寝ていると思った彼に腕を引かれ、ベッドに引きずり戻される。

「…どこ行くの?」
「え、いや、あ、あの…」

目の前にある筋肉に、心臓がはち切れそうなほど鼓動を打っている。

「照れてんの?」
「…や、え…」
「昨日あんな事したのに?」

そう言って悪戯に笑う彼は、寝起きだと言うのに何でこんなにも爽やかなんだろう。
アイドルとはやっぱり特殊な生き物なんだろうな…。

「…あの、やっぱりこれって…。」

恐る恐る聞けば、やっぱり爽やかに微笑んで
「可愛かったよ、昨日のなまえ。」
と耳元で呟いた。

…最低だ。
いや彼が最低なんじゃない。
私が最低だ。

「覚えてないの?ショックなんだけど。」
「…所々しか…、あの、ごめんなさい。」
「いいよ。これから覚えててもらえば。」

…は?これからとは?
何言ってんだろ…。

いや、そんなことはどうでもいい。
それより私は早くここから帰らないと。

「…あ、あの!」
「ん?」

帰りますって言おうとした私の言葉を遮るように、彼の電話が鳴った。

「ごめん。ちょっと待ってね。誰だよ朝から…あ。」

ベッドの横のスマホを手に取り、上半身を起こす彼から慌てて目を逸らす。
だって裸なんだもん!

そんな私を見て、楽しそうに笑いながら電話に出た。

「もしもし?」
「(ヒョン!起きてた!?)」

…この声は……。
急に今までとは違う類の稼働の速さが私を襲う。

「まあ、うん。ミンギュは今起きたの?てか、どうした?」
MG「(え!?いや、あの…、どうしてるかなって思って。)」

帰ろう。今すぐに。
取り敢えず彼のTシャツを着て、反対のベッドにある自分の服を持ってこよう。

よし。そうしよう。
意を決して床に落ちている彼のTシャツを拾おうとしたのに、また腕を引かれてベッドに戻された。

「どうしてるって…、てか、何でそんな事聞くの?」
MG「(え?や、別に…。まだ…なまえヌナ寝てる?)」

ミンギュの言葉に、彼はニヤリと笑って私を見るから、慌てて首を振る。

「そんなになまえの事気になるの?」

ちょっ、こいつは何を言ってるの!?
ニヤリと笑う彼はきっと全てを知っていると思った。

私は言った覚えないんだけど…。
ユリかな…ってユリは!?

「俺じゃなくて自分がなまえ連れて帰れば良かったとか、後悔してる?」
MG「(そ、そうじゃないけど…。)」

…ムカつく。
なんでわざわざそんな事聞くの?

「(わたしは帰る!)」
「ミンギュごめん、ちょっと待ってて。」
MG「(あ、うん…。)」

口パクで彼にそう伝えれば、彼はスマホを置いて私の上に跨る。

やめてと言いたいのに、声が出せないのは、ミュートにもせずにただスマホを置いただけだから。

「今帰ったら昨日のことミンギュに全部言っちゃうけどいいの?」
「っ!?」

耳元で小さく聞いてくる彼は、やっぱり知っている。
私がミンギュペンだと言う事を…。

「…め。」
「ん?」
「だめ…。」

別に推しにバレたところでどうにもならないことぐらい分かってる。
ただ、これ以上最低な女だと思われたくなかった。

「じゃあいい子にしてて。」

耳元で囁く彼の低い声は、甘くもあり魔法のような媚薬のような、不思議な気持ちになる。

「ミンギュごめん。で?何だっけ?」
MG「(ううん!何でもない!今日は13時集合だから遅れないでね。)」
「うん。ありがとう。じゃあ後で。」

電話を切りスマホを置くと、さっきと同じように私の耳元に顔を近付ける。

「ちょっ、何して…」
「そんなに好きなの?」
「え?」
「ミンギュのこと。」

体を離し真っ直ぐに私を見つめる彼の目は、全てを見透かしそうで思わず逸らしたくなる。

「…違う。ただ…、最低な女だと思われたくないだけ…。」
「そうだよね…、旦那も裏切っちゃったもんね。」

全部知ってるんだ…。私が既婚者なことも。何もかも。
でも彼が全て悪いわけじゃない。どちらかと言えば、弱いのに注がれるがまま飲んでしまった私が悪い。

「…なまえ。」
「…ん、あっ、ちょっ…や…。」

首筋を甘噛みしてくる彼に、思わず甘い声が漏れて慌てて口を抑える。

「捨てられたら俺が引き取ってあげるよ。」
「…え?」
「まあ、捨てられなくても俺の物にするつもりだけど。」

…何を言ってるんだこの子は。
私は彼より年上だし、既婚者だ。

まだ酔ってる?あ、そうか、まだ酔ってるのか。

「…水飲んで酔い覚まして。」
「酔ってないよ。本気で言ってるんだけど。てか、名前呼んでよ。」
「…え。」
「呼んでくれないならもっと強く噛むけどいい?」

そう言って再び首元に歯を立てる彼。

「…待って、呼ぶから…噛まないで。」
「じゃあ呼んでよ。昨日みたいに。」
「…だから覚えてな……」
「いいから早く。」

急かされて、深呼吸を一つする。

「……うぉぬ。」
WN「ん、もっと。」
「…うぉぬ?」
WN「ん。もっと、昨日みたいにいっぱい呼んでよ。」

そう言ってうぉぬの顔が下に下がっていく。

「や、待っ…だめっ…」
WN「呼んで。」

胸の突起を舌で弾かれ、甘い声が漏れる。

WN「可愛い。早く、呼んで…。」
「…あっ、呼ぶか…ら…、うぉぬ…やっ…だめっ…うぉぬ…」
WN「覚えてないって言うなまえが悪い。」
「…え?…あっ、待っ…んあっ!」

うぉぬのそれが私の中に入ってくる。
ダメなのに…。

WN「…可愛い。でもあんまり声出したらミンギュにバレちゃうよ。」
「…んあっ、や…止まっ…てよ…」
WN「ん、無理。これで止めよっか。」

そう言って唇で唇を塞がれる。
ダメだと分かっているのに、私は快楽に溺れてしまっていた。

やっぱり私は最低だ…。




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