01
あっけない幕切れ、だった。
会社帰りの横断歩道で、信号無視して突っ込んで来たトラックに撥ねられて終わった、私の人生。まだ30年も生きていなかったのだが、まあ死とはいつも唐突に訪れるものだ。
父と母もそうだった。ある日突然、幼い私一人残して帰らぬ人となった。
駆け落ち同然に結婚したらしい父と母には、私の知る限り親戚というものはおらず。そのまま流れ流されるままに孤児院で育った私に、死を悲しんでくれる家族はいない。
周りが私を見る目は、憐憫か好奇心かはたまた別の何かか。かわいそう、という言葉は言われ慣れた。身無子、という悪口も聞き飽きた。独り立ちする頃にはもうなんとも思わなくなったけれども、でも、やっぱり。
この世界は、私にとって少々生き苦しい。
だから、まあ。死んだところで、特に未練とか後悔とかそーいうのは無いわけでして。
そんなんだから、車に跳ねられて、アスファルトの地面に叩きつけられて、あっ死ぬわこれと直感した私がしたことといえば。
「(次に生まれてくるときは、もう少し生き甲斐のある世界でありますように)」
信じてもいない神様に、そんな叶うかどうかもわからない願いを投げつけることだった。
そして、“私”の世界は終わりを告げる。
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