元独神様
「かつての「私」は、八百万の英傑たちを統べる独り神でした。―――彼が私を「あるじさん」と呼ぶということは、つまりそういうことなんでしょう」
基本的な設定は本編と同じ。
ただし、こちらはかつて数多の英傑たちの棲む「八百万界」の英傑を僕とした「独神」が人間に転生した姿。
基本的に人間の体では独神としての霊力に耐え切れず、肉体が崩壊してしまいかねないため、神力を何重にも魂の奥底に封じ込めている。
英傑の主として振舞っていた頃の記憶はあるが、それをこの世界の神たちに強いるつもりは全くない。何故なら、八百万界に棲んでいた彼らと今##NAME1####NAME2##の前で生きている彼らは、存在は同じでも全く異なるからだ。
実際、ひーくんと初めて対面したときも、その純真さに「コレうちのヒノカグツチがやったらぞっとしないな本当」と、なかなか失礼なことを考えている。
神としての存在は同一でも、同じなのはそれだけ。故に、この世界のスサノオノミコトやツクヨミノミコトの中に、「独神」や「八百万界」の記憶はない。もちろん他の神々にも。
―――しかし、たった一人例外がいた。
ヒルコ。蛭子。日る子。イザナギとイザナミの間に生まれた最初の子であり、後に海に流された三貴神の兄弟。
八百万界におけるヒルコは後に海の神エビスとなったが、こちらの世界で出会ったヒルコはあくまで「忌み子」として扱われていたようだった。
この世界に存在するヒルコと、八百万界で独神に仕えた「ヒルコ」は全くの別存在。―――にもかかわらず、このヒルコは出逢った##NAME1##のことを「あるじさん」と呼び、歓喜した。
「ああ、やはり間違いではなかった。あの、初めてお前に触れたあの日から、ずっとずっと想っていた。なあ、「あるじさん」。おれの、我の、ああ、ああ、ああ!!!愛しい「あるじさん」!!!」
その言葉に、その声に。
見目も感じる邪悪さも何もかもが違うのに、あのへらりと笑って自分を呼ぶ「あるじさん」の声と、何もかもが違うのに。
「恵風」
何故、君がその名を知っているのかと。
―――忌み子として流され、孤独に恨みを深める気の遠くなるような時間の中で、彼はひとつの夢を見る。それは、異なる世界、異なる時空に存在した「自分」の夢。
いらない子として捨てられ、邪神となった自分と同じ存在であるはずなのに、光の中で、暖かな海に包まれ、光の隣で笑う幸せそうな「自分」の姿。
「自分」を照らす光は美しく、鮮やかで優しい光だった。ヒルコ、と明るい声で自分を呼び、手を差し出す、少女の姿をした美しい人。必要のない子供として両親に捨てられ、同じ神から生まれた兄弟神すらも自分を無いものとして扱った、それは同じはずなのに一体どうしてこの「自分」はこんなにも幸せそうなのか。
「(この少女が)」
こんなにも、「自分」に幸福な想いをさせているのか。
彼女の為に在りたいと。誰からも不要とされた「自分」を必要としてくれる愛しい愛しいこの人を、「自分」は全てをかけて護りたいと。
光の少女が笑う。「自分」も笑う。差し出された手をしっかりと、なんの躊躇いもなく握り返して、「自分」は愛情をこめて彼女を呼んだ。
「「あるじさん」」
怖くて寂しくて悲しくて痛くてつらくて苦しくて、そんなヒルコが異世界で幸せだった「自分」の記憶を夢として覗き見てしまったことから、その思い出に縋ろうと「あるじさん」を求めた話。異なる世界の「自分」の幸せそうな表情と今の自分を見比べて愕然として、その差はなんだったのかを探すうちに独神の存在にたどり着く。そんな光を見つけられた「自分」を羨む気持ちはあれど、自分にそんな存在が現れるはずは無いと無意識のうちに諦めて、暗く冷たい怨恨の海の中を、その思い出を糧に漂っていたら、たまたま自分の器に成り得る魂の持ち主の気配を察知、こりゃ行くしかねえだろレッツ復讐!!とか意気揚々と飛び出して御崎神社で赤ん坊に取り憑いたら、あれなんかデジャヴ…?どこかで感じた事があるような、いやちょっと待てこれってまさかそんな嘘だろこんなことってあるじs、ここでヒルコ氏スサノオ氏によって強制退場。次の出番は14年後です。
そして14年後、取り敢えずの器を見つけて、手始めにクシナダヒメを穢してから下界へ降りる。多分これスサノオへの嫌がらせだよな?ん??
下界に下りて真っ先に##NAME1##に会いに行く。成長した姿を見て「嗚呼、」と嘆息。色は違う。その肉体に神力はない。だが、その面影はまさしく「記憶」の中でかつて見た―――
「嗚呼、やはり「きみ」だった。もしやとは思ったが、嗚呼、嗚呼!!なんという奇跡!なんという幸運!!!かわいいかわいい我が主、愛しい愛しい「あるじさん」!!狂おしいほど会いたかったぞ!!!」
「―――あ、るじ?」
「ああ、先にあいつらを片付けてからと思ったあのだが。退屈させてしまってすまなかった、「あるじさん」。大丈夫だ、何も怖がることはない。「あの頃」のように、「おれ」と一緒にいよう。「きみ」の傍にいられるのなら、「おれ」は、我は―――」
しかし寸での所で##NAME1##の呼び声に応えたひーくんがその器へ舞い戻り、ヒルコの手を振り払う。
「炎…ッ!?」
「おまえ、誰だ。―――##NAME1##に何をした」
掌から炎を迸らせ、低い声で目を細めるヒノカグツチ。
その炎を見て、ヒルコが眉根を寄せた。
「火之迦具土だと…?死んだはずではなかったのか」
「なんで生きてるのかは知らない…だけど、
―――##NAME1##はおれのだ」
その言葉に、ヒルコが目を見開き静止した。
脳裏に思い起こされたのは、あの眩いばかりの光の中。
愛しい光の傍らに、当然のように寄り添いその手を握る黒い背中の―――
「―――貴様」
ヒルコが地を這うような声で呟いた。
「貴様も、か―――貴様も「おれ」から、我からその娘を奪うのか」
「(お前「も」…?)…##NAME1##はお前のじゃない。おれの、」
「あの忌々しい雷と風の軍神や八傑共だけにあきたらず、ヒノカグツチ!!!貴様まで!!!我が元から、主を!!!!」
「―――ッ!?」
その後爆発したヒルコに、霧子と雪尋登場。その後は取り敢えず本来の流れのまま。
ヒルコの寄り代を破壊し、強制的に退場した所でひーくんも##NAME1##の体から出てくるが、色々ありすぎてショックのあまり朦朧とする意識。そこでひーくんが軽々とお姫様抱っこ。顔を覆って好き。ってなる。霧子さん、やっぱりひーくんの嫁になるのは無理かなぁと悟った顔。
たぶん霧子さんの目的って神嫁になることだとは思うんだけど。
ちなみに「忌々しい雷と風の軍神や八傑共」っていうのはいわずもがなタケミカヅチと神代八傑(+カァくん)の最古参独神ガチ勢のことです。
この時は目の前のヒノカグツチのことで頭がいっぱいで雪ちゃんに憑いてるのがこちらの世界のタケミカヅチだと気づいてなかった。多分確信持ったら殺しに来る。向こうの「ヒルコ」にとっては独神は確かに愛すべき主だったし傍にいれば自分は幸せだったけど、タケミカヅチや神代八傑と一緒にいてあるじさんが幸せならそれで全然オッケーなので、ここまで深くタケミカヅチや神代八傑を恨んでいるのはこちらのヒルコ特有の感情になります。なんであっちの我は独神盗られてへらへら笑ってんのバカなの???ってなってる。
時々しゃべり方が不安定になるのは、ヒルコと「ヒルコ」の記憶が混濁しているから。
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