@ジワジワ攻めます
「あーあ、ほんとに忘れたままで居てくれれば良かったのに」
「何が?」
「花礫君だよ。何で思い出しちゃったのさ」
「いや何でと言われましても……。私は思い出せて良かったと思うけど」
「それはあくまで結果論だろ? もしあのかくれんぼで花礫君が名前を見つけられなかったなら、これから先ズルズルと引きずってたかもしれないじゃないか。……まぁ、そうなったらそうなったで、また強制的に忘れさせるつもりだったけどね」
「ん? ……ん? 今なんか不吉な言葉が聞こえたんだけど」
「っオイこらバカ女! 今すぐそいつから離れろ!」
「ヒドいなぁ、花礫君。僕はまだ何もしてないじゃないか。……まだ、ね」
「したらマジでぶっコロス……!」


@冗談なの?本気なの?
「……お前、マジでアイツのこと好きなわけ」
「うん? アイツって?」
「トボけんな。名前のことだよ」
「へぇ、本人が居ない所ではちゃんと名前で呼んでるんだ? 気に食わないな」
「ほっとけ。訊いてんのはこっちが先だ」
「……最初は僕もただの幼馴染みとしか思ってなかったんだけどね。でも、君の隣で嬉しそうに笑う名前を見てたら酷く腸が煮えくり返りそうになったんだ」
「……ハ、それでもアイツはもう俺のモンだ」
「うん、それでいいよ。人のモノを奪うっていうのもまた一興があって愉しいしね。駆け引きなら自信があるし、名前は僕を信用しきってる」
「ほざけ。お前が付け入る隙なんざねえよ」
「寧ろそれくらいじゃなきゃ張り合いがない。精々名前から目を離さないように気を付けてね、花礫君?」
「アンタら喧嘩するなら他所でやってくんない? さっきから食堂が息苦しいんだけど」


@ジワジワ攻めます2
「名前、美味しい茶葉が手に入ったから僕の部屋においでよ。マフィンとクッキーも用意するし」
「おい、甘い言葉に惑わされて行こうとすんなよ。絶対こいつ何か企んでるぜ」
「何かって何? 花礫君は想像力が豊かなんだね、羨ましいな」
「煩ぇ、白々しいんだよ。そんなことよりも俺の部屋に来い。この前見たいっつってた本見せてやるから」
「行っちゃダメだよ名前。花礫君はやましいことしか考えてないから。男はみんな狼なんだ、分かるよね?」
「テメェだけには言われたくねえ」
「…………あの、私にも喋らせて……」


@花礫くんと押し問答
「気付いてンだろ、喰の気持ちに」
「……いや、でもまさかあの喰が、ねえ?」
「ねえ? じゃねーよ、そうじゃなきゃ最近のあの行動の理由が付かねえだろ。事実、宣戦布告っぽいことも言われたし」
「え、なにそれ!? 何で私をその場に呼んでくれなかったの!?」
「呼んでどうする」
「やめて、私の為に争わないで! とか言ってみたかった」
「…………」
「痛い痛い、花礫くん手の甲抓んないで」
「……やっぱお前、死ぬほどムカつく」
「ええ!? ……っんぅ、」
(──フェードアウトしました──)


@喰くんとイヴァ姐さん
「……はー、まさか此処でアンタが首突っ込むとはね」
「そんな気は無かったんですけどねぇ。散々あれだけ騒がせといて、結局は収まる所に収まった二人を見てイラッとしたというか」
「分からなくはないけど。名前を傷付けるようなことだけはしないでよ。あの子、一回落ち込むと面倒臭いんだから」
「重々承知してますよ。落ち込んだら面倒臭いのも、眠るとき膝抱えて丸くなることも、甘いものには目がないってことも全部知ってます」
「そこまでは訊いてないわ」
「喰くんこわい」
「何はともあれ、二人を引き裂くつもりは無いですよ。邪魔するつもりはありますけど」
「満面の笑顔ヤメテ気色悪い」
「喰くんこわい」
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