・7月25日に発売されたドラマCDブック、「いけない父兄参観」ネタ。
・これからご購入予定のある方でネタバレは避けたいという方はバック!



@研案塔から帰ってきました
「……いやね、私だってあの花礫くんがイジメに遭ってるなんて思っては居なかったんだよ? 確かに多少のやっかみや嫉妬の対象にはなってるかもしれないけど、花礫くんってそういうのとことんスルーしそうだし、どうでもいいとか言って一蹴しそうだし。本人だって全員に歓迎される身だとは思っていないだろうし。前例のない特別待遇を受けてる訳だから、何かとチクチク嫌味言われるんだろうなって事は承知の上で燭先生についていくって決めたんだろうし。だけどね」
「ああもう長ったらしい。率直に言えば良いだろ。それで?」
「…………心配の種は尽きないんです…………」
「また浮気とか?」
「またじゃない。そもそも浮気されたことない」
「サラッと惚気けるなよ燃やすよ?」
「そうじゃなくて……、いや、もちろん研案塔にも花礫くんをカッコイイって言う女の子はたくさん居ると思うけど。万が一にも花礫くんが心変わりしちゃうなんて考えてないけど!!!」
「結局不安なんじゃないか」
「不安だよ!! いや信じてるよ、信じてるけども!! それより勉強に集中し過ぎてないでちゃんとした栄養摂れてるのかなとか、夜眠れてるのかなとか、疲れとかストレス溜まってるんじゃないかなとか! 肝心なとこ疎かにしてるんじゃないかって心配だったから部屋に入ることを、意を決したわけで!!」
「部屋も綺麗にしてて意外だったと」
「……うん」
「しかも花礫くんがクロノメイに行く前、ツクモちゃん達が渡したニジとニャンペローナのぬいぐるみが戸棚から見つかって嬉しかったと」
「……うん」
「そしてエロ本らしきブツも見つからなくてホッとしたと」
「う…………って何言わすの!」
「うっかり頷きかけたのは名前だろ。面白いくらいバカ正直だねホント」
「うるさい喰」
「まあ燭先生からも元気だって近況教えてもらった訳だし。時々部屋もチェックされるみたいだから、生活面での心配は要らないでしょ」
「うーん……理解は、してるつもりなんだけど……。こういう過干渉なとこも花礫くんにウザいって言われる理由なんだろうなぁ……」
「分かってるなら放っておけばいいのに」
「2日に1度はメールしないと怒られる」
「……ハ? (え、なにあのガキ。冷たいフリして実はベタ惚れかよ。寂しがりかよ。ぶっは、キャラじゃないんですけど超ウケる)」
「返事はもちろん来ないけど」
「まあ、しないだろうね彼の性格的に」
「そう。それは別に構わないんだけど……その2日に1度の連絡が今日なのよ。でも今日あった出来事と言えば貳組の定期検診くらいでしょ? 正直に花礫くんの部屋に行ったことを話すべきか秘密にしておくべきか判断つかなくって……」
「白状したら間違いなくお説教だろうね」
「何言われるか想像できるから言いたくない」
「でも秘密にしておいても罪悪感がってか」
「そういうことです」
「めんどくさ……ああ、いや。だったら正直に言えば良いだろ。後々バレても怒られるのは確実なんだからさ。ただそれが遅いか早いかの話でしょ」
「うっ……うう、ごもっともで……」
「納得したなら僕はちょっと席外すよ。平門さんとこ行ってくる。夕食は僕の分も取っといてね」
「はーい…………。……虫眼鏡め(ボソッ)」
「聞こえてるからな??」


@立ったー!! フラグが立ったー!!
「ノォォォォォォぉぉぉぉぉぉ!!!!」
「!!? え、ちょ、……與儀!?」
「與儀っ!」
「──……あ、无くんとツクモ……。アレどうしたの? なんか顔くしゃくしゃに歪めながら走ってったけど」
「名前…それが、花礫くんからの伝言を伝えたら、今すぐ謝りに行ってくる! って飛び出して行っちゃって」
「え゛っ、待って。花礫くんの伝言……? 今すぐ謝りに、って……」
「名前にもね、花礫から伝えろって言われてることがあるの!」
「いやだ!!! 聞きたくない!! いや聞きたいけど怖い!!! 絶対物騒な言葉が並んでるよね!!? コロスとか呪詛紛いな文字が綴られてるよね!!? 鳥の卵より脆いメンタルがフルボッコにされそう!!」
「だ、大丈夫よ名前! 花礫くんはフェミニストだから女性や子供には優しいし、與儀や平門みたいなことは言われないと思うわ」
「花礫くんほどフェミニストって言葉が似合わないのは…げふん! 本当にそう思う、ツクモ? 花礫くんの普段の私に対する扱いを振り返ってみてもそう言える?」
「え……、ええ、と。多分……」

しーーーーーーん。

「名前…? が、花礫からのメール、読まない、の?」
「な、无くん……私、今にも心臓が皮膚を突き破りそうなんだけど……」
「見て見なければ分からないわ。ね?」
「…………分かった。読むね。──ええと……この、平門さんたち宛の『くたばれ!!』の後からでいいの?」
「うん。さらに下の文を名前に見せろって」
「『20代のクセしてガーーーーーキ!!』の言葉が容赦なく私にも刺さるんだけど……このままスクロール、ね……」
「……どう?」
「………………(ピシッ)」
「名前?」
「…………ツクモ。」
「! 花礫くんはなんて?」
「骨は、拾ってね…………お願い……」
「えっ?!」

『今日の夜電話するから。居留守使うなよ。電源も切るなよ。着拒もしねえで首洗って待ってな』
(首落とす気満々じゃないですかぁ!!)


@尋問官のほうが向いてそう
『────で。俺の言いたいことはあらかた分かってんだろ? 分からないとは言わせねえ』
「はい……(ガタガタブルブル)」
『なんで勝手に俺の部屋になんざ入ってんだよ。イジメ? ンなもん有るわけねーしまず俺が構うわけねーだろぶわぁーーーーっか!!』
「私だってまさか花礫くんが苛められてるなんて思ってないよ! 仮にイジメに遭ってたとしても、あんまりにもしつこい場合はボッコボコにやり返しそうだし!」
『ムカついたら殺す気ではいる』
「字違いだったデスキルのほうだった」
『つかなんで俺の部屋に入れたワケ?』
「平門さんもとい朔さんや艇長の腕輪には各施設の部屋のキーを解除できる特別な認証システムが備えられていてね。それでカチャッと1発」
『職権乱用じゃねーかあのクソ眼鏡……』
「……いや、あの、無断でヤサガシしたのは申し訳ないと思ってます……」
『棚ん中にベッドの下……漁った場所が悪意があるとしか思えねえんだけど。主に喰と平門が率先して動いたんだろ』
「その通りでございます」
『で、お前もその2人のどっちかに余計なこと吹き込まれて、早とちりして、勝手にハラハラして共犯側に回ったってか』
「花礫くんの飲み込みの速さが怖い」
『お前が分かりやすい思考してんだよ』
「それは私のことを良く理解してくれてるって自惚れてもいい?」
『ハッ』
「相変わらずの塩対応!! そんな花礫くんも好きだけど!! たまには糖分もください!!!」
『砂糖でも舐めとけば?』
「調味料。」


@でもね、見つけちゃったの
「……ね、花礫くん」
『あ?』
「クロノメイに行く前、私が渡した押し花の栞、使ってくれてるんだね」
『──……!!』
「机の上に重なってた資料の中に挟まれてるの見つけちゃった」
『あれは……別に、使い勝手が良いから使ってただけで……他に挟んどくようなモンも無かったし……』
「でも付箋は貼ってあったくらいだし、とりあえず目印替わりになるものなら他にもあったと思うけど」
『…………うっせ』
「ふふふ」
『〜〜っだから!! お前といい與儀といい勘違いすんなよ! ぬいぐるみとか捨てらんねぇから棚に置いてるだけで、栞も一応役に立ってるから使ってるだけで、大切とか特別とかそんなんじゃねーし!! っだぁもう何でこんな言い訳じみたこと口にしなきゃなんねぇんだ腹立つ!!!』
「ぶっふ!」
『笑うなくたばれ!!』
「ごめんてば、そんな怒らないで! だってね、私たちが渡したものが、今もまだ花礫くんのそばにあるって事実が嬉しかったから。たとえ使われてなくたって、花礫くんが捨てられないって今言った言葉が凄く温かったから」
『っ!』
「ツクモも无くんも與儀も、見つけた時とっても嬉しそうだったよ」
『……ホントに始末できずにただ置いてるだけだっての。それだけで喜ぶとか、単純なヤツら』
「またまた憎まれ口叩いちゃって」
『お前次あったら覚えてろよ』
「ほんの軽口じゃないの!」
『その軽口が自分の首を絞めることになるってのをいい加減学べバカ』
「……うい」
『…………で、おまえは?』
「え?」
『お前は見つけた時どう思ったんだよ』
「当然のこと内心大はしゃぎでしたとも」
『────やっぱガキだわ、お前ら』

(ムカつく筈なのに、はしゃいでるアイツらの姿を想像して自然と笑みがこぼれ落ちるのは)
(貳號艇での生活に慣れてしまった、絆されてしまった証なのか)



書き下ろし漫画も本編だった……;;出来るならこの花礫くんの葛藤もドラマCDに収録して欲しかったくらい……。今回喰くんの口の悪さが目立ってた印象があったので、こちらでもちょとブラックテイスト。花礫くんが喰くんのことを「虫眼鏡」呼ばわりしてるの見て最高に笑いました。丸眼鏡じゃなくて虫眼鏡。虫眼がブッフォ!(喰くんファンの方すみません)
お粗末さまでした!!
ALICE+