*妊娠安定期中のお話
*ほのぼのしたお話が書きたかっただけ


@手持ち無沙汰
「……名前?おま、なにしてんだこんなとこで。休んでなくて良いのかよ」
「寝てばっかり居ても身体鈍っちゃうだけだし。適度に運動しとかないと」
「だからって仕事やるこたねーだろ…っああ重いモン持つな貸せ!」
「、あ…別にこれくらい平気だよ?しんどい時はちゃんと休憩挟んでるもの」
「そういう時は休憩じゃなくて寝てろって…コッチはおちおち安心も出来ねえ」
「でも他の人に任せっきりなのも申し訳なくてさ…本当に無理だと思ったらキリの良いとこで仕上げるから」
「………」
「ね?」
「…だったら俺もやる」
「え。いや花礫くんこそ仕事終わって疲れてるんだからゆっくり休んで…」
「俺と一緒にこのまま仕事やるか、俺と一緒に休むかどっちか選べよ。じゃなきゃ強制的に後者にすっかんな」
「…う、だけど、」
「俺一人休んだところでお前が気になって休めるモンも休めねーし…遠慮はいいから」
「…じゃあ。もう少しだけ能力者のデータ纏めておきたい、かな」
「ん。それくらい朝飯前だし、任せろ」
「ふふ、頼もしいねっ」
「うっせ茶化すな」


@あれよこれよと?
「……んーっ、やっと終わったー!」
「結局全部やっちまったな…まあ良いか」
「これで当分は気兼ねなく休めるよー…っとと、億劫になる前にお風呂入んないと」
「………久々に俺と入る?」
「……………」
「オイ硬直すんな。俺が一人で喋ってる痛ェヤツみてえだろ」
「……はっ、意識飛んでた。ごめん花礫くん今なんて言った?」
「よし入んぞ。四の五の言わずに入んぞ」
「ちょっ…タンマ!服脱がせようとしないで、いろいろ心の準備とか!」
「ハァ?心の準備って…別に今更恥ずかしがるようなコトでもねーだろ」
「だってホントに久々だし…なにより花礫くんがそんなこと言ってくるなんて珍しくて」
「なんかお前床で滑って転けそうだし」
「転けませんから。いつも普通に上がってくるでしょ!」
「どうだか。今日は分かんねぇかもよ?」
「なにその脅し…洒落にならない…」
「だから俺が見張ってやるっつってんの」
「……でもそれって単なる口実で、実は花礫くんが私と入りたいだけだったり…」
「口は?」
「災いの元です」
「で?」
「…………着替え用意してきます」
「そうしろ」


@寛ぎの時間
「湯船にタオル入れんなよ」
「うっ。わ、分かってる…!」
「……そう言いつつ目線泳いでっけど」
「直視出来ないんだってば…お願いだからそんな股広げないで見えるぅぅ…!」
「めんどくせーな…だったらこっち来れば?俺に寄りかかれば見えねぇだろ」
「………そうする……」
「……」
「………」
「やっぱンなくっつくな」
「どっち!?」
「ムリ。色んな意味でマジ無理。」
「花礫くんが言い出しっぺなのに…」
「忘れろ」
「無理です。…それにこの格好の方が落ち着くんだけどな……」
「〜〜っあぁクソッ…拷問だろ……」
「(…なんか楽しくなってきた)ねえ花礫くんもっとくっついて良い?」
「お前……さては面白がってんな…」
「ふふふ〜、こんな花礫くん滅多に見れないからね!貴重貴重」
「………覚えてろよ」
「忘れる」
「…のヤロウ……、にしても、大分腹目立つようになってきたな」
「そうだねぇ、たまに動くようにもなったんだよ。……ほら、」
「………蹴った?」
「うん。きっとパパだって分かって反応したんだよ。ココにいるよーって」
「…、なんか、むず痒」
「ふふ。そろそろ慣れてねパパ呼び」
「当分は慣れねーわ…多分」
「そこは気合で乗り切ろうよパパ」
「………お前こそ頑張れよ、ママ」
「………あ。ダメだむず痒い」
「ふっ、バーカ」


そんな些細な軽口を交わし合って、二人揃って床に就く。優しく私を後ろから抱きしめてくれる逞しい両腕、ぎこちなく膨らんだお腹を撫でてくる骨張った手に自分のそれを重ねて、「しあわせだなぁ」って微笑むの。そしたら貴方は「単純」なんて鼻で笑いつつも、ぎゅってその腕で私を包んでくれるから。安心感に微睡みながら瞳を綴じたら、耳元で好きだ、って囁く声が聞こえた。そうして夢の中に落ちて行って、朝起きたら二人向かい合わせに抱き合って寝てて。「俺、腹潰したりとかしてねーよな…?」っておっかなびっくりで私のお腹を触ってくる彼に、また笑った。

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