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『午後5時、あの公園の噴水前で。

…あの約束、覚えてる?』










すっかり日が傾くのが早くなった秋のある日、ルリはひとり噴水の前に立っていた。
公園は夕日の色に染まり始めている。
ブランコを揺らすように、緩やかな風が吹き抜けていく。


(…来てくれるだろうか)


一年前、この公園で「一年後にまた会おう」と別れたきり、お互い忙しくてなかなか連絡が取り合えなかった。
今日ばかりは確認のメールを送ったが、未だ返信はない。
電話しても留守電になってしまう。


「……」


ルリは俯いて目を閉じた。
風で揺れ、ギィギィと鳴るブランコの音がますます不安にさせる。


やがて公園の時計は5時になった。


カチリ、と長針が12を指す。
それと同時にジャリ、という音が前方から聞こえた。
はっ、と顔を上げると、ひとりの男がこちらに向かって歩いてくるのが見えた。
それが誰なのか、すぐにわかった。


「…コウ!」


ルリは思わず叫んだ。
コウ、と呼ばれた男はルリの近くまで来ると、黙って左手を差し出した。


「あ…!」


それを見たルリは驚いたものの、すぐににっこりと笑って左手を出した。


「覚えててくれたの…!?」
「もちろん」


二人の左手には赤いリボンが結んであった。
あの日の約束の証。
離れていても、ひとりではない、と気づかせてくれた大切な──。


「嬉しい……!!」


ルリはぼろぼろと涙をこぼしながら喜んだ。
「大袈裟だな」と頭を掻くコウに、ルリは「そんなことない」とばかりに首を振って、コウの左手を掴む。
二人のリボンが風にたなびき、端同士が触れ合い、くすぐるように流れていく。
涙で滲むルリの目に、リボンの赤がじわりと広がって映った。
夢じゃ、ない。
それだけで心が温かくなった。






「この気持ちを思い出せたことが、とても嬉しいの」








───────


このリボンが繋いでいてくれる。

ずっと、ずっと。

この先も。








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