萩原研二

「おお、萩原、この間はありがとな!」
「ん⁉ああ、いや、こちらこそありがとうね〜。」
「早速彼女を連れて行ったんだが、物凄く喜んでくれてなあ!」
「おお〜それは良かったねえ。」

 いつの日かのように食堂で向かい合って座っている松田のことを横目で見ながら、隣に座った伊達に笑いかける。笑みを浮かべた表情とは裏腹に、内心はバックバクだった。だって嫌な予感しかしないからね………‼ちらちらと松田を見ては、今日もめちゃくちゃ美味しそうな従兄弟お手製弁当に夢中になってて!どうぞ!なんて心の中で叫ぶ。

「お前と一緒に見たカップルの話をしたんだが素敵だ!ってはしゃいでなあ。」
「ッア〜〜〜!うん!そうだね!うん!」
「この歳になって元気に誕生祝いの歌を歌うのは楽しかったな!」
「う、うん……………。」
「女の子も飛び上がって喜んでて微笑ましかったしなあ。」

生姜焼き定食をもぐもぐしながら、にこやかに笑う伊達の顔をそりゃあもうひたすら一生懸命見た。ちなみに、顔の向きは二度と変えたくない。

「あはは、うん、そうだねえ〜〜。そう、だねえ…………。」

松田が居る方向から、地を這うようなほおー?という声が聞こえて肩を揺らす。

「萩原くーん、俺にも詳しく教えてくれるよなあ?」
「ん?そうか、松田も聞きたいか!」
「伊達〜〜〜‼やめよ〜〜〜‼」

教えなくてもそいつ当事者だから‼やめて俺の命が〜〜〜‼不自然に口角を上げた松田とにこにこ顔のままもぐもぐを続けている伊達を見ながら、俺は泣いた。誰か………そろそろ俺とこの話題について分かち合おう…………⁇