※木の葉から江戸にトリップ

コスプレイヤーが俺の寝室に現れた。嘘じゃない。これがとんでもなく本格的なクオリティ。チャチなプレイ用なんかじゃない。すげーないくらかかってんだこれ。不法侵入者ということも吹っ飛んでしまった。どうにも単純な脳みそで困る。まぁでも、相手は女だ。例え殺人犯だとしても、そう狼狽えることはない、と踏んでいた。

「にしても、ナルトのどのキャラクターだか銀さんにも皆目検討つかねーよ。コスチュームの割にその辺詰まってねーなァ」

「え、ナ、ナルト?きゃ、ら?」

「その額当てとベストっていうの?おたくも気合入ってんねー。で、どのキャラクターなの」

丁度そばに落ちていた(最近読み返したばかりだ)いわゆるキャラクターブックというやつを開いてパラパラとめくる。大人のくノ一なんてアレ、キバとかヒナタの班のセンセイぐらいしか知らねーよ。

「え、なに、それ・・・」
「え?知らねーでやってんの?どういう趣味の彼氏いんだよ」 

本を指差して示すと、目の前の美人はものすごく取り乱し始めた。我に返ったらしい。俺もようやく思考のギアを切り替える。そうだ。酔っぱらって一夜を共に疑惑でも、屋根から偶然落ちてきて、とかでもないのだ。いきなり、そこに現れた。その瞬間もバッチリと見た。上からとか下からとか、そういう次元じゃなくて。

「!!!あの、ここは?どこ?」
「かぶき町だ。江戸って、分かるか?地球の」
「エド、カブキ、、?」
「・・・じゃあさ、逆にそっちはどこにいたんだ?」
「わたし、たしか、任務からの帰り道で、確か火の国との国境付近に・・・」

ドクドクと心臓が波打って痛いくらいだった。けれど意外にも頭は冷静で、いやそんなこともないか。現れ方、発言、身につけているもの、反応、それになにより、

「なぁ、その目・・・カラコン、ってヤツだよな?」
「カラ・・・?いえ、あの、写輪眼
、です」

さっきまで目の前の女の瞳は黒かった、なぁそうだろ?そしてこの世界に瞬き一つで目ん玉の色を、模様を、変えられるヤツなんていねーだろ?すべてイエスだ。答えはひとつ。

「もしかして、この人たちお知り合いだったりする?」

本棚に並べられた漫画を見て、呆然とその場に立ち尽くす彼女の目からひとすじ涙が伝う。そのままポタリ、とページに落ちてじわりと染みをつくった。それをぼんやりと眺めながら回らない頭で彼女の立場になってみようと考えてみる。例えば俺のいるこのかぶき町が、このジャンプの世界だったとして。

「・・・あれ?わりと通常営業じゃね?」

-meteo-