蒸せ返すような熱を孕んだ夜。弾けたように夢から勢いよく追い出されてしまった。もう一度目を閉じて夢の続きを追ってしまいたかったのだけれど、熱帯夜というやつがそれをさせてくれない。諦めて寝返りを打って見上げると真子はすぅすぅと穏やかに寝息を立てている。

寝る前はそんなことしていなかったのに、右手はしっかり真子の左手に握られていた。暑いのはごめんだけれど、このじんわりとした熱は不快じゃない。わたしたちも可愛いところがあるものだと笑みを零すと深い眠りに落ちている様子の真子も同じように口を緩めていた。なにやら今夜は楽しい夢でも見ているらしい。あ、口開けた。

「真子?」

返事がないのを確認して、顔は少し遠かったから清潔な喉仏に口づける。少し身じろぎして、また夢へ帰る真子についていくようにわたしも目を閉じる。少し経ってから腕を引かれて抱きすくめられた。右手だけじゃなくて今度は全身が、相変わらず茹だるように熱いけれど真子が自分の夢へ連れてってくれるような気がして嬉しかった。大好き、と言う代わりにしっかりと真子にしがみついた。


image song/シアワセ

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