タンバシティに生まれ育ったわたしは、嫌というほどうずまき島というところが恐ろしいものだと島中の大人たちに聞かされて育った。海を操る神は神々しくもおそろしい、近づいては災いが起こる。まあ、どれもそんな感じのはなしだった。どのこどもも疑問など持たずそのはなしを信じ込んだ。海岸から見える4つに分かれた島はどんなに穏やかな天気だろうとはげしい渦に囲まれていたからだ。

「本当に、大丈夫なの・・・別についてこないでも」
『オレンジ諸島にたくさん親戚がいるから、ひとりくらいこっちに来させるさ』
「でもさあ・・・なんか違うと思うんだよね」
『ぜ、絶対わたし抜きではいかせないからな!異常気象起こすぞ!』

神は、わたしの手の中の、一つ300円のモンスターボールに収まっているというのだから、この世はわからない。
とりあえず、わたしにはポケモンと会話する能力があって、うずまき島は水ポケモンと友達になれば意外とこどもでもたやすく入ることができて、そしてそこには海の神さまで伝説のポケモン、ルギアがいて、彼はとてつもない心配性だということだ。

「いやわたし今からフェリーと深夜バスでワカバタウンいくじゃん、そこからめざせポケモンマスター!って図鑑もらってパートナー貰って、旅をはじめるわけじゃないですか」
『全部頭に入っているぞ!というか、わたしがワカバタウンまで乗せていけばあっという間だし、貯金も崩さず済むし、何が違うんだ』
「全部だよね。だってもらうパートナーってレベル5だよ?ルギアは」
『何を隠そう70だ。そいつより14倍もすごい。多分それよりすごい。わたしは伝説のポケモンだしな』
「・・・・・」
『そろそろふぇりーの時間か?まあレトロな旅もたまにはいいかもしれんな!』

-meteo-