※ マドベーゼの設定なのでいろいろアレ
なまえとモモンガ(教育係)と俺(責任者)で、堅苦しさ100%のなまえの経過報告というやつを政府のお偉い方だとかなんとかにしてきた帰りだった。
「そういやなまえお前、なかなかの覇気を当てられてたが大丈夫か?あれだけ長い間防御魔法を使って疲れたんじゃないか」
「え?魔法使ってない・・・というかハキってなんですか?モモンガさん」
「・・・まさか、知らんのか?」
覇気というのはだな、と説明を始めるモモンガと首をかしげるなまえのふたりを見ながら、ふいに思い出した。あれは確か出会って間もなかった頃か。なんとなく仕事をする気になれなくて(といってもいつものことなのだが)、だらだらと世間話をしていたときの話。
・・・
彼女のいた世界では魔法使いというやつにも学校があって、そしてなまえはその学校の先生だったらしい。けれどそう言われても、全く先生には見えないというのが正直な感想だった。目の前のなまえはソファに寝ころびながら机上のお茶うけに手を伸ばしている。
「まあ教鞭とるまえにこっち来ちゃいましたし、言っても助教授ってやつですしねえ」
「あー前になんか聞いたような気がするな。・・・でもなんでまた先生になんかなったの?」
「ふぉれふぁえふふぇえ、」
「飲み込んでからしゃべりなさいよ」
慌てて口を押えてもぐもぐと咀嚼するなまえは俺の知っている「先生」という存在からはかけ離れているように思う。教える立場というよりは教わる立場のほうがしっくりくる。
「・・・えっと、まあ、就職きまんなくて拾われた、みたいな感じですかね・・・」
「へー、やさしい先生じゃない」
「・・・・・・・ヤサシイ、センセイ?」
俺が経験したいわゆる「先生」という立場の人間は海軍の教官ぐらいだから比較はできないが、そこまで面倒を見てくれる先生なんてあんまりいないんじゃないだろうか。そう思って何の気なしに俺が言った言葉が、なまえの脳みそに物凄い混乱を招いたらしい。目をこれでもかとばかりに目を見開いて、口は今にも顎が外れそうだし、手からはクッキーが落ちる。ほとんどショートしかけてしまってる。
「・・・普通に考えたらやさしいんじゃないの?」
「いやいやまさか、世が世ならあんなもんテロリストですもん!ヤサシイなんてそんな!」
「・・・その人、先生なんじゃないの?」
「いやまあちょっと踏み外して、先生になっちゃいましたけど!根は!ほんまもんのラスボ、スで、」
それまで勢いよく身振り手振り全開で力説していた彼女はピタリ、と動きを止めた。と思ったら今度は寒い寒いと呻きながら両腕で自分を抱き寄せて震え始める。
「ヒィッ!」
「え、なに、どうしたのよ」
「分からないですけどモノスゴイ悪寒が・・・恐るべしトム・リドル、異世界からの陰口も許さないとは・・・」
・・・
そのときは冗談交じりというか誇張しすぎというかなんというか、とにかく全然本気になんてしなかったのだけれど。
「つまりまとめると!強いひとたちはすっごいオーラが出せて、弱い人にはすごいダメージだよってことでいいですか?クザンさん!」
「まぁなんだ、それでいいよ」
振り返って俺を見上げるなまえの頭を撫でてやる。あのときと変わらず、先生にはやっぱり見えない。
「しかし、なまえは魔法以外はまるっきり一般人のそれだというのに・・・」
「まあでもオーラが効かないって・・・そんなのあたりまえですよね!わたしが何年リドル先生というどす黒魔王オーラに当てられてきたと思ってるんですか」
自信満々に言い切るなまえと腑に落ちないのかしきりに首をかしげるモモンガと、なんとなくあの時の話を思い出して納得してしまった俺。
「・・・そういやなまえ少し前、勝手にふらふら白髭と赤髪のケンカに首突っ込んできてたよね」
「あー、あれ!すごい怖い顔でしたねえ二人とも〜さすがにドキドキでしたよ」
「いや、顔じゃなくて、覇気。大丈夫だったの?」
「・・・え?うーん、別になんとも・・・」
魔法こそあれど平和だと思っていた彼女のいた世界はもしかしたら、とんでもないところなのかもしれない。
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