上忍の待機所で、居酒屋で、甘味屋で。至る所でなまえとカカシが肩と肩をくっつけてクスクスと(ときにはゲラゲラと)笑っているところを見かけるが出来る。ふたりはいわゆく幼なじみというやつらしい。ナルト曰く「もはやちょっとした観光名所」でありサクラに言わせれば「微笑ましい通り越して目障り」。まぁどちらも間違いじゃない。ともかく今日は、行きつけの居酒屋のアスマと紅の向かいの席でその見慣れた光景は広がっていた。

「とにもかくにも!アスマと紅おめでとー!いやぁじれったかった!」
「ええ、ありがとうなまえ」
「まぁ、なんつーか・・・世話んなったわ」

今日はふたりがようやく付き合うことになった、という報告を兼ねた飲み会だった。

アルコールのおかげで既に頬が赤くなってきているなまえは、兼ねてからふたりを応援してきたのもあってとても上機嫌だ。そのなまえの口元についたポテトサラダを拭いてやるカカシも分かりにくいが同じく機嫌がいい。

「ほーんと、めちゃくちゃ世話したよ」

カカシの言葉にハテナを浮かべたのは紅ひとりだけだった。アスマはゲッという顔をしてなんとか話題をそらそうとしたが健闘虚しくなまえとカカシが例のクスクス笑いにかき消される。

「どういうこと?」
「いやねぇ、アスマがねっ、緊張しちゃうからってっ、あっだめだお腹痛い」

ひゃっ、とかひーとか奇声をあげながらなまえがお腹を両腕で抱えながらカカシのほうに倒れ込む。それを自然に受け止めるカカシ。これもよく見られる光景だ。

「ま、簡単に言うと告白の練習台をオレがしてあげたってこと」
「だって!アスマそんなヒゲヅラなのに毎回毎回顔真っ赤でね!ちょうおもしろいから」
「力入っちゃって男梅みたいになってたもんね、アスマ」
「ひー!もうだめカカシ!思い出しちゃうからそれいっちゃダメって言ったじゃん!」
「半年ずっとやられてみるこっちの気にもなってよ。たまに夢に出るからね」
「なにそれサイアク!!」

苦虫を噛み潰したような顔をしてタバコを灰皿にギュッと押し付けるアスマと、素直に照れようかそれとも面白がろうか迷って複雑な顔をする紅。どちらの顔色も赤い。自然と目線がぶつかった。どこからか仄かにいいムードが漂ってきた、とうまくはいかず。

「あ!待ってストップ!カカシその角度!」
「なに?イケメン?知ってるけど」
「やばいイケメン!!!サクモパパに超似てきた〜〜!」
「ウッソ、今日オレずっとこの角度でいようかな」
「うんうん、そうしな〜!」
 
なまえが体を動かすのに合わせて首を俊敏に動かすカカシ、そして30秒も持たず同時に吹き出してお互いを支え合うようにして笑いを噛み殺している。こんなのが目の前にあっていいムードなんてのが生まれるわけがない。アスマと紅は同時にため息をついた。全くバカバカしい話だ。これでこのふたり、付き合っていないっていうのだから。


((じれったいのはお前らだっつーの!))

-meteo-