舌ったらずに告白


「へーまた告白されたんだーよかったですねー」

 真也に突然呼び出され、ついに俺と優ちゃんとの結婚を認めてくれたのだろうかとルンルン気分で行ったところ、珍しく丁寧にもてなされ、尚も期待を膨らませた。
 だが、真也が話し出したのは、女についての相談。つきまとってくる女、振ったのに諦めてくれない女をどうにかしたいとかいう……つまりは愚痴だ。

(何だよ嫌味か! モテない俺への嫌味か! クソイケメンが! イケメンなんか滅んじまえ! べ、べべべ別に羨ましくなんかねーしゅ! あ、噛んじゃった! テヘッ)
「こくはくってなあに?」

 真也の横からぴょこりと顔を出し、小首を傾げる優ちゃん。悩殺ものだ。天使だ。

「告白ってのは、好きな奴に好きだって伝えることだ」

 優ちゃんを抱き上げ膝に座らせる真也。説明を聞いた優ちゃんは、しばらく考えるような顔をしたあと、満面の笑みで言い放つ。

「優も、こくはくする!」
「……」
「真也? 真也……っ! しっかりしろ!!」

◇◇◇

「と、いうわけだ」
「いや、全然わからんし」

 あの後、泡を吹いて倒れた真也をベッドに寝かせ、優ちゃんと共に隆の家へやって来た。と言っても最近真也の家の隣に越してきたから近いんだけどね。

「俺はお前の山口弁が全然わかんねーよ」
「樹久、山口バカにすると痛い目見るよ」

 そう言うと不意に拳を握りしめ立ち上がった。

「まず! 山口イコール河豚みたいなイメージになっちょるけども! けっ、どっ、もっ! 言っちょくけどね、山口県民だって河豚なんてそうそう食べれんっての!」
「お、おう……そうなのか……」
「ふぐー!」

 頬を膨らませる優ちゃんが可愛すぎる。

「山口だってフグの値段は一緒なんよ! 高いんよ! フグなんて給料日にスーパーの値引きされた刺身食べるくらいじゃい!」
「隆、とりあえず落ち着けよ……」
「おまけに言うとね! 自分の住んじょる所以外の市に行った時もお土産買うんよ! 山口県民なのに山口のお土産買うんだぞコルァ!! 地元大好き!!」
「わかったから落ち着けボケェ!!」
「けえー!」

 背後に火が見えそうなほどにヒートアップした隆の頭を殴るとやっと落ち着きを取り戻す。
 今回の議題は山口についてではなく、優ちゃんの告白のお手伝いだ。

「で、誰に告白するん?」
「もちろん俺に決まっ」
「ちがうよー」

▼優ちゃんの こうげき!
▼樹久に 258000000の ダメージ!
▼樹久は たおれた!

「きっちゃんはね、3ばんめにちゅき!」

 3番目?俺3番目の男?つーか前より順位下がってね?俺、前は2位だったよな?
 あれ、おかしいな……俺の上にだけ雨が降って……

「じゃあ、誰に告白するん?」
「あのね、」

 真っ白になり体育座りでのの字を書く俺を無視し、優ちゃんは隆の耳元で何かを囁く。
 チクショウ……誰だ……俺の可愛い可愛い未来の妻である優ちゃんのハートを盗みやがったのは……

「よし、じゃあ告白の練習しよっか」
「うん!」
「俺以外の男なんてみんなハムスターになればいいのに……」

◇◇◇

 夕方。今までどこかに行っていた優(他オマケ2匹)が帰ってくる。ぱたぱたと足音を立てて俺の元へ駆け寄ってくると、太陽顔負けレベルの眩しい笑顔を浮かべ、言った。

「ぱぱ! あ、あい、あいらぶ……ん? えっと、あい……あいら……あい、らびゅ、ゆー!」
「あいらびゅ?」

 あい、らびゅ、ゆー……I、love、you、か。
 頬を赤く染める優の後で、物陰に隠れていた隆と樹久が顔を出し、親指を立てた。

(たまには良いことするな……さすが、俺の新友)

 優を抱き上げ、親指を立てて見せる。菩薩のような笑顔を浮かべた2人に舌を出して見せ、優の頬にキスをし、抱きしめた。

「俺も……yuu is loved」
「いず? ら、べ?」
「優が大好きってことだ」




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