桜舞う頃にまた
季節は春。
桜が満開になり、ピンクの花びらを散らす。その様はまさに、一枚の絵のようだ。
校門前に飾られた看板には、『○×小学校第八十二回入学式』と書かれ、その横を通り親子が門をくぐる。
ランドセルは、小さな体にはまだ大きく、背負うと言うより背負われている状態。制服もまだ、着られている。
一年二組と書かれた札が飾られた教室の中では、入学式を終えた新入生達が、緊張や期待の表情を浮かべ、各々の席に座っていた。
その中にはもちろん、高峰優がいる。
担任は出席をとりはじめ、優の父親とそのおまけは、ちゃんと返事ができるだろうかといらぬ心配をしていた。
「なあ、真也! 優ちゃん大丈夫かな!? 何なら俺が出席を……」
「黙れ」
父親が友人の鳩尾に華麗な正拳突きを決めた時、ついに娘の番がくる。
「十四番、高峰優さん」
「あい!」
「あい? はいじゃなくてあい? 可愛さキャパオーバーしそう」
「黙れ」
一家とおまけは、今日も明るく元気。
首を絞められ遠のく意識の中、樹久は思う。そう言えば、頭の明るい、はっきり言えば禿げた校長が、マイク片手に言っていたな。お決まりの言葉を。
「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます!」
ラブ・イズ・娘!
‐完‐
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