大好きなぬいぐるみ


「真ちゃーん!」
「……」
「しーんーちゃーん!!」
「…………」
「ぱぱー!!」
「どーしたァ?」

 パタパタと家の中を走り回っていたかと思えば、息を切らして俺の所に駆け寄って来る。そして、ソファに座っていた俺の太ももに両手をつき、こちらを見上げると「真ちゃんがいないのー!」と言った。
 真ちゃんって言うのは俺の事じゃねェ。この前作ってやったクマの人形の事だ。

「なくしたのか?」
「ちがうもん! きのーいっしょにねたもん! あさ、いなくなっちゃったんだもん!」
「……ならどっかその辺にいるだろ」
「いなかったもん!!」

 涙目で反論する優。泣かせないように必死で次の言葉を探していると、とどめの一撃。

「ぱぱ……いっしょにさがして?」
◇◇◇

「クソッ……涙目プラス上目遣いは反則だろ……」

 ぶつぶつと小言を漏らしながらリビングで捜索していると、風呂場の方から「ぱぱー!!」と優の叫び声が聞こえる。

「優!! どうした!? 大丈夫か!? 外に覗きでもいたか!?」

 何があったのか、と、チーターにも勝てそうなほどの速さで風呂場へ行くと、俺が作った人形を抱いて満面の笑みを浮かべる優がいた。

(か…可愛い……っ!)
「真ちゃんいた!」
「そうか、よかったな」
「うん!」
「……そんなにそれが好きか?」
「うん!真ちゃんだいすき!」

 大好きだとよ、よかったな、真ちゃん。まあ俺には勝てないだろうがな。

「優のたからもの3ごーなの!」

 3号?

「1号と2号は何だ?」
「えっとね、1ごーがぱぱとままでしょ? 2ごーがきっちゃんたち!」
(俺の人形が樹久達よりランク下っつーのは気に入らねェが、優が可愛いから許す)




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