空が近くて、まるで闇が遅いかかってくるようだ。 機内はすっかり眠りの空気に包まれている。どこからかいびきが聞こえはじめた。囁きあう異国の言葉。小さな窓の向こう側はどこまでも続く闇なのだ。 彼女が求めるものは空からふり落ちるような輝く大きなカーテン。君が求めるなら僕は一生かけても追い求めるよ。腕をいっぱいに広げてカーテンと一緒に君を抱きしめるんだ。そして愛しい君にキスをする。きっと君の唇は冷えきっていてるに違いない。そしてやっぱり、僕たちの国よりうんと寒いだろうからあたたかいココアを用意して。 「私が欲しいものは、オーロラよ」 「…きみ、起きていたの」 遠くて読書灯がぽつり、また一つ消えた。機内は更に闇に溶け始める。 君はロマンチックというものをまるでわかっていないね。こんな飛行機、落ちてしまえ。僕はそうに思い、まぶたを閉じる。 眠りの世界はすぐそこだ。 20151220 |